ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━ESP━『エスパー』 ( No.125 )
- 日時: 2010/07/17 16:54
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
34【過去】
崩壊数分前 1階 エントランス受付
バン!!!
「うぐっ!!」
マルバスの撃った弾丸は、気絶している三郎の頬をかすりながら地面に当たった。
背中を誰かに蹴られ、その拍子で狙いがズレたのだ。
「誰だ!!」
マルバスが後ろを振り向くと、そこには思いもよらない2人が立っていた。
「三郎さんに、手を出すな!!」
算介はマルバスの足を掴み、そのまま持ち上げる。
後ろにいた天馬は両手から炎を出し、マルバスの顔面に向けた。
「くたばれ!!」
「な、お、おい!!ちょ、ちょっとまっ・・・」
マルバスは必死に謝るが、天馬はマルバスの顔面に炎を噴射した。
マルバスは発狂しながら気絶し、そのまま地面に派手に倒れ込む。
と、同時に会社が大きく揺れ始めた。
「天馬!!三郎さんをつれて早く逃げるぞ!!」
算介は天馬と共に三郎を抱え、会社から飛び出した。
──────
時は戻り 会社崩壊から1時間経過
「うっ・・・・・」
会社の瓦礫の上に寝かされた円、草屋、紅夜、荒井、涙香は少しづつ意識を取り戻し始めた。
5人の隣には、マルコ、冥堂、亜樹、篠左記が立っている。
「敵はどこだ・・・・なぜいなくなった・・・」
マルコが上を見渡すが、会社を崩壊させたアガレス、そのほかの敵はどこにもいない。
4人は目を合わせると、首を傾げて疑問に思う。
「とりあえず・・・・待てよ・・・・・」
マルコは全員の顔を見渡すと、あることが頭に思い浮かんだ。
「なぜ、東京支部の能力者はこんなに少ない?」
冥堂はマルコの言葉で全員を見渡す。
確かに、現在東京支部の能力者は5人しかいない。しかし、襲撃されてからこの数だったはずだ。
「・・・・冥堂、今のうちに裏切り者をはっきりさせないか?」
「・・・・・裏切り者などいない。」
冥堂はマルコの言葉に冷静に答える。だが、マルコはそうではなかった。
「冥堂!!裏切りは絶対に許される行為ではないんだぞ!!昔もそういうことがあって、若い社員を亡くしただろう!!!」
マルコの言葉に、亜樹は首を傾げる。
「え?何の話ですか?」
「君はまだ入社していない。私と冥堂が社長に就任したときに起こったある事件だ。」
能力者 神谷零の暴走事件_______
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「暴走事件〜ん?」
シャックスはエリゴス卿と共に、名もない暗い路地裏を歩きながら復唱する。
「あぁ。君はまだ生まれていないし、デーモン七魔将のメンバーでは初期メンバーであるバエルと私しか知らない。」
エリゴス卿はそう言うと、なぜか不気味に微笑んだ。
「まあ、あの事件は‘アビリティ’史上最悪の事件とも呼ばれている。年齢17歳の社員が能力の暴走により死亡。原因は、恋人の死だ。」
「ふぇ?恋人?」
シャックスは首を傾げながら、ポケットにある飴玉を口に放り投げながら言った。
「我々も後から知ったのだが、能力が暴走するきっかけは愛する者の死だ。怒りを越えた怒りが、能力の力を倍増させ、冷静さを完全に失わせ、化け物へと変わる。」
エリゴス卿は腕時計を見ると、口を尖らせた。
「もうすぐ、ルシファーと合流する。」
「裏切り者♪ばれずに来れるかな?」
「それは無理があるだろう・・・・なにせ・・・・」
「社長である冥堂の近くにいるのだからな」