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Re: ━ESP━『エスパー』35話うp♪ ( No.129 )
日時: 2010/07/18 11:01
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

36【神谷零 暴走事件その2】


Aチーム_____


それは、東京支部にある選抜された能力者4人1組のチームだ。
神谷零は、Aチームに配属されて1人の女性に恋をした。
それは、当時高校生であった中園晴香というきれいな女性だ。
神谷零がアメリカの任務帰りに、ヘリコプターで告白したときにすべては始まった。


「ごめんなさい・・・・私、久保さんと付き合ってるの・・・・」


向かい合う神谷は、晴香の言葉に呆然とした表情となる。
「え・・・・?」
神谷は隣に座る、同期の久保浩太の顔を見た。
久保はスタイルも良いし、モデルの様な顔立ちもしている。
「あきらめろ〜ぉ。お前じゃ無理だよ。はっはっは!!」
しかし、久保の性格は見た目とは裏腹に嫌なものであった。
久保の言動を晴香はすぐさま止めようとした。
「ちょっと!!久保さん止めてよ!!」


「・・・・・ね」


神谷は俯き、ボソボソと何かを呟き始めた。
「あ?泣いてるのかぁ?」
「おい!!久保!!」
リーダーである山本は、ヘリの操縦をしながら久保を止めた。
しかし、久保は神谷の顔を覗きこみながら再び嫌みを言う。
その時だった。


「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」


神谷は大声で叫ぶと、両手から黒い雷を出して久保の顔面に直撃した。
「な、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
雷は久保の頭部を数秒で灰に変え、そのままヘリのプロペラ部分に激突。
と同時に、ヘリは回転しながら砂漠へと落下し始める。
「さぁ・・・・晴香・・・・・・」
神谷は笑顔になると、晴香に手を伸ばす。


パン!!


しかし、晴香はその手を振り払い、頭部がない久保に駆け寄り大声で泣き叫んだ。
そしてその瞬間、神谷の心に亀裂が入り、理性は完全に失った。
「お前も・・・・・お前も・・・・・・」
神谷は両手を晴香に向け、漆黒の雷球を作りだす。
「全部なくなれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
そして、その瞬間。
ヘリコプターは空中で大爆発を起こし、地面へと叩きつけられた。


───────


現在


冥堂が投げた光の槍は、理性を失ったはずの神谷に簡単に避けられる。
「社長・・・・・。俺は・・・・・仲間殺しをした・・・・・・。だが、許される。」
神谷は不気味に微笑むと、両手から漆黒の雷を出す。
「俺は、当然のことをしたのだ。」
「仲間殺しは重罪だ。まだ23歳のお前だが、ここで処刑する!!!」
冥堂は再び光の槍を作りだすと戦闘態勢に入る。
神谷は大きなため息をつくと、いきなり腹をかかえて笑い始めた。
どうやら、頭もおかしくなってるらしい。
冥堂は神谷を見ていられず、すぐに攻撃へとはいった。
2本の光の槍を投げるが、神谷は軽々とした身のこなしで避け、あっという間に冥堂の目の前に来た。
「社長でも、容赦はしません。」
神谷は両手を冥堂の胸に付け、雷を出そうとする。
その時だった。


「星宮流 三日月切り!!」


瞬間移動で2人の間に現れた星宮は、刀を神谷の頭から三日月の形に振り下ろした。
が、神谷はその攻撃さえ簡単に避ける。
明らかに、普段の神谷の身体能力とは違った。
「最早・・・・あなた方では俺に勝てない。」
神谷はそう言うと、自分の胸に手を当て、なぜか雷を噴射させた。
その瞬間、神谷の体は黒い雷に包み込まれていく。
「さようなら・・・・社長・・・・・」
「ま、待て!!」
これが、冥堂と神谷の最期に交わした言葉だった。
神谷は雷に完全に包みこまれると、その場から一瞬に姿を消した。
「・・・・アメリカ本部に連絡しろ。社員が、3名の能力者を殺し逃亡。すぐに伝えろ!!」
「で、でも、社長は戻らないのですか!?」
「いいから行け!!」
冥堂の強い言葉に、星宮は冥堂を置いてその場から消えた。

冥堂は未だに燃え盛るヘリの傍によると、地面に座り込み涙を流した。
「一体・・・・なんで・・・・・・」

この出来事が始まりだった______



そう、終わりの始まりの幕が______



上がった瞬間だった______