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- Re: ━ESP━『エスパー』38話うp♪ ( No.133 )
- 日時: 2010/07/19 15:56
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
38【ルシファー】
‘アビリティ’東京支部崩壊跡地
瓦礫の山となった東京支部に、テレサとトイは足を踏み入れていた。
「しっかし、これは酷いですね。」
「・・・・トイ、これを見て。」
テレサはある程度足を進めると、瓦礫に向かって指を指す。
トイはテレサの指さす方向を見ると、顔をしかめて目を閉じた。
「これは・・・・・誰が・・・・・・」
「まだ温かい。恐らく、敵の仕業とは思えないわね。」
テレサはしゃがみ込み、瓦礫に埋まった‘ある物’を触りながら言った。
トイは首をぶら下げていた十字架を掴むと神に祈り始める。
「おぉ・・・・神よ。どうか、彼に安らかな永遠を・・・・」
「犯人を探すわよ。さすがに、アメリカ本部だからといってこれは見逃せないわ。」
テレサはそう言うと立ちあがり、トイと共にその場を後にした。
瓦礫に埋まっていた‘ある物’・・・・・
それは、千葉支部副社長の東駿介の死体だった______
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東京支部崩壊跡地から1キロ北へ
新宿区 東新宿エリア
生き残ったメンバーは、路地裏を隠れながら足を進めていた。
10分ほど歩くと、廃墟となったビルで休むことになった。
「はぁはぁ・・・・みんな、大丈夫か?」
冥堂は全員を見渡しながら言った。
マルコス、冥堂、円、紅夜、涙香、荒井、篠左記、草屋、亜樹の9人が現在のメンバーだ。
「よし・・・・とりあえず、安全な場所に移動しよう。」
マルコスの言葉に、亜樹やほかの全員は首を傾げて尋ねる。
「安全な場所って、もう会社はないですよ。」
「第2の東京支部だ。」
冥堂の言葉に、全員は呆然とする。
第2の東京支部など聞いたことがないからだ。
「そんなもん聞いたことねぇぞ。どこにあるんだ?」
荒井は煙草を咥え、火をつけながらマルコに聞いた。
「ここから少し離れている。20分歩けば着く。」
「まだそんなに歩くの・・・・」
円はその場にしゃがみ込むと、大きなため息をついた。
すると、冥堂が首を横に振り、円の肩をポンと叩く。
「いや、2手に分かれよう。東京支部の者は第2の会社へ。千葉支部の者は、崩壊した会社に戻り救助活動だ。三郎君やその他の社員がいるかもしれんしな。」
冥堂の計画に、全員は賛成した。
最初に動き出したのは千葉支部だった。
「それじゃあ、先に行くよ。冥堂、そっちは頼むよ。」
マルコはそう言うと、荒井、涙香、紅夜、草屋を引き連れ廃ビルを出て行った。
「よし!!我々も行こう。」
冥堂の言葉で、円は渋々立ち上がる。
そして、第2の東京支部へと目指して足を進めたのだった。
**********
マルコ達は東京支部の崩壊跡地目指して黙々と足を進めていた。
路地裏を抜け、再び路地裏に入る繰り返しだ。
「社長、敵はいると思いますか?」
草屋の言葉に、戦闘を歩いていたマルコは首を傾げながら言った。
「さあね。相手は何を考えているか分からない。もしかしたら、まだいる可能性もある。」
マルコの言葉に、涙香と紅夜がため息をついた。
「ただの手伝いで東京に来たのに、なんでこんなことに・・・・」
涙香がボソリとつぶやく。だが、それは全員が少しながら思っていたことだった。
しかし、今更何を言っても変わらない。
「はぁ・・・・・あれ?」
草屋はふと後ろを振り向く。すると、ある異変に気付いた。
「あれ?荒井さんは?」
紅夜と涙香の後ろを歩いていたはずの荒井の姿が、いつの間にか消えていた。
マルコも後ろを振り向き、全員の顔を見渡す。
「荒井はどこだ?紅夜、涙香?」
「わ、私は知りません!!」
「俺もです・・・・」
2人は首を横に振り顔を合わせる。
確かに後ろをついてきてたはずだ。
それに、少しだけ荒井が吸っていた煙草の匂いもする。
「・・・・荒井なら大丈夫だろ。どうせ、後で来るよ。」
マルコの言葉に全員は賛同し、そのまま東京支部へと再び向かい始めた。
**********
東京某所 某公園
人気のない公園に、シャックスとエリゴス卿は無言で立っていた。
ここが、ルシファーとの合流地点なのだ。
「ねぇ、来れると思う?」
「大丈夫だ。彼なら・・・・ね・・・・・」
エリゴス卿はニヤリと笑うと、前方に指を指した。
シャックスが前を見ると、前方からフードをかぶった男が2人に歩み寄って止まった。
「どうやら、ばれずに来れたらしいな。」
「・・・・・マアナ。」
ルシファーの声は変声機で高い声になっているが、性別は男性だと分かっている。
「それで、何か分かった?」
「ダイ二ノ、トウキョウシブガアルラシイ。」
「第2の東京支部?・・・・またやっかいだな・・・」
エリゴス卿は顎を触りながら言うと何度か頷く。
「まあ、当分は大丈夫だろう。奴らには大きなダメージを与えたのだ。」
エリゴス卿の言葉に、シャックスは頬を膨らませる。
「えー・・・・。じゃあさ、第3段階までお仕事なし?」
「お前はそうなるな。」
シャックスはその言葉を聞くと顔を顰めた。
エリゴス卿はルシファーを見ると、一枚の紙切れを渡す。
「今後の計画表だ。次からは君にも参加してもらうよ・・・・ルシファー・・・いや・・・」
「荒井・・・・・吭・・・・・」
ルシファーはフードを外すと、煙草を地面に投げ捨てた。
「その名前で呼ぶんじゃねえよ。」
ルシファーはそう言うと、紙切れを手にその場から歩き去った。