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- Re: ━ESP━『エスパー』38話うp♪ ( No.135 )
- 日時: 2010/07/20 06:59
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
39【第1魔将バエル】
「なぜ生きる・・・・?」
「・・・愛する者を・・・・守るためだ・・・・」
───────
「はっ!!!」
屋上に寝そべる一人の男性は、夢の出来事に驚き飛び起きた。
「またか・・・・・」
男性はウエーブヘアーを靡かせながら立ち上がると、屋上から東京の街を見下ろした。
男性は悪魔が描かれた黒いマントに、下は全身真っ黒な服を着ている。
さらに、両手を包帯で隠しているために素肌は顔しか見えない。
「アガレス・・・・いるのだろう?」
男性の言葉で、隣に何の前触れもなくアガレスが現れた。
「あなたから呼び出すとは・・・・何かあったのですか?」
「気まぐれだ。それで、計画は順調か?」
「仲間が数人減ったが、別に死傷はない。計画通りに進めるつもりだが・・・」
アガレスの言葉に、男性は笑顔で頷いた。
「NPSをそろそろ襲撃しろ。戦争はもう間近だ、この東京は能力者の戦場となるのだ!!。」
男性は両手を上げ、東京の街に向かって大声で叫ぶ。
その時だった。
「あっしをお呼びですかい?」
2人の後ろから、奇妙なしゃべり方をする若い男性が姿を現した。
アガレスと男性は振り向き、アガレスが説明を始めた。
「彼は死んだ魔将の穴埋めだ。カイムというレーザー発射能力を持つ能力者だ。」
「ひひひ・・・以後、お見知り置きを・・・・」
カイムは不気味に微笑むと、男性に深くお辞儀をする。
「まあ、第1魔将バエル殿と一緒に仕事できるだけで・・・・」
「その名前、軽々しく口に出すな・・・・」
カイムの言葉をバエルは威圧感で止めた。
カイムは一瞬動きが止まり、多量の冷や汗が出てくる。
「す、すいやせん・・・・・」
「いいよ。それより、死んだのは誰?」
バエルの質問に、アガレスは口を瞑らせながら言った。
「シャドウが死に、アモンとマルバスはNPSに収監されました。」
「そう・・・ならちょうどいいね。その2人は、襲撃した後、魔将の称号を戻してあげよう。」
バエルは笑顔で言うと、再び屋上に寝そべる。
カイムはチラリとアガレスを見た。
その目は、「こいつ大丈夫なの?」という目である。
「・・・・・とりあえず、俺とカイムでNPSの襲撃計画をたてる。」
「よろしく。」
バエルを手をひらひらとさせながら言う。
カイムは苦笑いしながら、アガレスとその場を後にした。
「愛する者か・・・・・」
一人ポツンと残ったバエルは、そうつぶやくと目を閉じた。
今でも目を閉じれば、暗闇の先が見える。
「終わりの始まり・・・・そろそろ、始めようかな・・・・」
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NPS 国家機密刑務所
東京湾に聳え立つ、高さ5階建ての長方形の建物。
周りには鉄格子が設置され、24時間体制で武装した自衛隊が見回っている。
「早く進め!!甘ったれるな!!!」
自衛隊が遅く歩く受刑者に向かって罵声を上げ、ショットガンで背中を叩いた。
「うっ・・・・・くそが・・・・・」
叩かれた受刑者は、デーモン七魔将の第3魔将アモンだった。
アモンは全身白の受刑者専用服を着て、以前の紳士的な雰囲気は完全に消えていた。
「あきらめろ・・・・もう無理だ・・・・」
アモンの後ろにいるのは、同じデーモン七魔将の第6魔将であるマルバスだった。
マルバスは天馬の攻撃で顔面に大火傷を負い、顔は包帯で隠れている。
「絶対に・・・・・許さないからな・・・・・」
アモンは立ち上がると、ものすごい形相で前を見つめながら歩き始めた。
マルバスはそんなアモンを見ると、呆れ果ててため息をつく。
「刑務所生活か・・・・・」
マルバスはそう言うと、渋々足を進めたのだった。