ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━ESP━『エスパー』アンケート・Q&A ( No.145 )
- 日時: 2010/07/21 16:06
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
41【注意】
デーモン七魔将が東京支部を襲撃した翌日
東京支部の社員達は、新宿にある第2の東京支部へと移動を始めていた。
「はぁ・・・僕がいない間に会社が・・・」
三木は段ボールを持ち歩きながら、会社の中へと入って行った。
三木の隣には、円と受付嬢である凪野がいる。
「あんたが任務で出ていた間、こっちは大変だったのよ!!それに、ひどいのは千葉支部の方よ。」
円は悲しそうな顔で弱々しく言う。
確かに、一番ダメージを受けたのは千葉支部だ。
副社長である東駿介は、千葉支部の社員である荒井に
殺害。
しかも、荒井は殺害後に行方を晦まし現在も行方不明。
「葬式には行かないんですか?」
「社長と篠左記さん、後は上層部の人間が何人か行ってるだけよ。」
円はそう言うと、エレベーターに乗り込んだ。
三木も続いて乗り込み、凪野だけが1階に残る。
「私は受付の整理をしますので。」
「ばいばい。」
円は凪野に手を振ると、三木と共に上の階へと向かった。
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天馬宅 ダイヤモンドマンション
世田谷区の高級マンション10階にある天馬の自宅。
天馬は自身の部屋の中で、今日の朝刊を読んでいた。
「嘘だろ・・・・・」
天馬は朝刊の表を見ながら呆然とする。
記事には、予想を越えた最悪なことが書かれていたのだ。
━━━政府直轄の刑務所で、受刑者姿を消す━━━
昨夜、NPSで総勢300名の受刑者が脱走。原因は何者かの襲撃による模様。詳しい原因はFBIが調査中である。
看守塔を攻撃され、刑務所の正門が開き、全セキリュティが破壊された後に刑務所内で暴動が多発。
看守及び居合わせた自衛隊総勢200名が重軽傷を負う大事件となった。
尚、その時間NPSの署長であるサム・アンドリュー・ロドニーは不在であった。
脱獄した受刑者は現在も見つかっておらず、警察とFBIは全力で捜査中である。
複数名による犯行だが、犯人の詳しい情報や素顔は不明。近隣の住民にも応援を呼び掛けている。
━━━━━━━東京新聞 発行者 水間優斗
天馬は新聞を置くと、呆然とした姿でベットから立ち上がる。
「会社を襲った奴らと一緒か・・・。はぁ・・・・」
天馬がため息をついたその時だった。
「天兄、学校遅れるよ。」
塔子が制服姿で部屋に入ってきた。
そう言えば、昼から課外授業がある。面倒くさいが、学校は避けられないものだ。
「ありがとう。もう行くよ。」
天馬が塔子に言うと、塔子は何故か天馬の顔をじっと見ている。
視線に気づいた天馬は、首を傾げて塔子に尋ねた。
「何?どうしたの?」
「炎出るの見せて♪」
塔子の言葉に、天馬は苦笑いする。
最近、学校に行く前に能力を見せるのが、塔子の日課となっている。
「・・・・一回だけだよ。」
「うん!!」
パチン!!
天馬が指パッチンをすると、指先から発火する。
塔子は感心し、拍手をした。
「すごーい!!天兄、やっぱすごいよ!!!」
塔子は天馬の腹に抱きつき、顔を擦りつける。
天馬の中で、塔子はかけがえのない存在だ。これ以上、能力のことを詮索されるのはまずい。
超能力、東京支部、‘アビリティ’、現在の敵のことを知れば、必ず塔子に危害が加わる。
それ以上に、自分と接した人間が危ない。
「気をつけないとな・・・・」
天馬はそう言うと、塔子と共に家を出た。
そして、塔子は中学校。天馬は高校へと足を進めたのだった。
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警視庁 刑事課
デスクで資料を見つめる傘橋は、事件に関連性があることに気がついた。
「・・・・どれも異常だ。人間の犯行か?」
傘橋のデスクには、『UMA』、『異常現象』などの本が山積みにされてある。
傘橋が考えていると、後ろから加藤がコーヒーをデスクに置きながら話しかけてきた。
「傘橋先輩、あなたがこんなことに興味あるなんて珍しいですね。」
「ん?いや、ここ最近起こってる事件がどうもおかしいからな。」
傘橋はコーヒーを飲むと、百宮学園高校をクライムが襲った時のことをまとめた資料を見る。
「・・・・海藤天馬。この子も気になるんだ。」
「その子って、確か数年前の連続不審火事件に関わっていた子ですよね?もう高校生ですか?」
「俺らも歳だな。」
傘橋の言葉で、加藤は顔を顰める。
「わ、私はまだ20代ですよ!!」
傘橋は鼻で笑い、ほかの資料も見直す。
しかし、どの資料を見ても何かが引っ掛かる。
「現場に行くぞ。現場に行った方が、こういうときはいいからな。」
傘橋はそう言うと、椅子にかけてあるコートを羽織る。
加藤もスーツを着なおすと、2人は刑事課を後にした。
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東京 渋谷区
「はは・・・・だからですね・・・・」
若い人間で溢れる大通りの角、カフェでトイとテレサは休んでいた。
トイは携帯を切ると、ため息をつく。
「本部の命令は?」
「まだ様子を見ろということです。アメリカ本部は、日本がどこまでやれるか遊んでるみたいですね。」
トイの言葉に、テレサは首を横に振る。
「そう簡単に手を貸すものじゃないでしょ。死人、裏切り者が出たとしても、最悪なことが起こるまでは私達アメリカ本部の社員は手を出せない。」
「最悪なことって・・・・」
「日本でも収拾がつかないことよ。」
トイはテレサの言葉で、頭に複数の言葉が思い浮かぶ。
能力者は何を考えているか分からない。善でも悪でも。
最強の能力を手に入れれば人間性が180度変わる。
アメリカ本部は、恐らく察知しているのだ。
悪夢が近づいていることを_________