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- Re: ━ESP━『エスパー』戦場東京編♪ ( No.151 )
- 日時: 2010/07/25 16:04
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
44【親友】
百宮学園高校 グラウンド
学園から生徒と職員は避難し、天馬とルシファーである荒井だけが残っていた。
辺りから聞こえる爆音や悲鳴は、恐らくNPSから脱獄した者たちが市民を襲っている。
「うらぁ!!」
荒井が振りかざす剣を、天馬は避けながら炎で攻撃する。
「荒井さん!!なんで、攻撃するんですか!?」
「黙れ!!お前には分からないのだ!!!」
天馬は一旦後ろに下がると、両手から炎を出す。
荒井は剣を構え、天馬の顔を見ながら言う。
「お前には、絶対に理解できないことなんだ。親に見捨てられ、虐待を受け、助けてくれる人もいない。」
「・・・・・え?」
天馬はその言葉を聞き、ある人物を思い出した。
「塔子・・・・」
塔子も荒井と同じ世界を歩いてきた人物だ。
塔子には天馬や英明と由美子が手を差し伸べたから悪の道には進まなかった。
しかし、荒井は悪の道に進んでしまったのだ。誰にも助けられずに生きてきた結果がこれだ。
「お前には、絶対に分からないんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
荒井は剣を持ち、地面を蹴ると一瞬で天馬の目の前に来た。
「なっ!!」
「俺の能力は筋肉発達。全ての動きは、お前より上だ。」
荒井は剣を地面に刺し、天馬の腹に向かって回し蹴りをした。
「ぐぁ!?」
天馬はまともに喰らってしまい、そのまま後ろに吹き飛ばされてる
職員室の中へと窓ガラスを割りながら、床にたたきつけられた。
「強い・・・やっぱ・・・・俺だけじゃ・・・・」
天馬はすぐに立ち上がる。すでに、目の前には荒井がいた。
「お前の力では勝てない。この戦いでは、足手まといだ。」
荒井はそう言うと、再び天馬を蹴りあげた。
「ぎゃっ!!」
天馬は悲鳴を上げながら、床に再び叩きつけられる。
最早、勝てる見込みはない。
荒井は地面に突き刺さった剣を抜き、倒れている天馬に近づいてくる。
その時だった。
「おらぁ!!!」
天馬の後ろから、野球ボールがものすごいスピードで通り過ぎた。
荒井は飛んできたボールを手で簡単に弾き飛ばす。
「お前ら・・・・ここの生徒か・・・・」
荒井の言葉で、天馬は力を振り絞って立ち上がり、後ろを振り向いた。
すると、そこには逃げたはずの将と七海が立っていた。
「わ、私の友達をいじめないで!!!」
「天馬を殺そうとするやつは、許さんで!!!」
天馬は2人を見ると、言葉を失いただ呆然としていた。
「な、なんで・・・・逃げろ・・・・」
「カラオケ行くんやろ!?逃げるで!!」
将は天馬の手を引っ張り、七海と3人で職員室を飛び出した。
荒井は追おうとするが、足を止めて自分の手を見る。
「・・・・裏切り者ルシファー・・・・。天馬、お前に救われたよ。」
荒井は微笑むと、剣を握りなおして天馬達とは違う方向に走って行った。
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百宮学園高校 東門
天馬、将、七海は東門を抜けて外壁に寄りかかった。
「天馬、大丈夫か?」
「あぁ・・・それより・・・・」
「七海に聞いたで、超能力者なんやろ?」
将の言葉に、天馬は何も言わずに頷いた。
「心配すんな。わいや七海は、いつもお前の味方や。」
将と七海は笑顔で天馬の顔を見る。
天馬はその言葉で涙を流し、力強く頷く。
「ありがとう。安全な場所に逃げよう、ついてきてくれ。」
天馬はそう言うと、七海と将と共に安全な場所へと向かって行った。
