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Re: ━ESP━『エスパー』 ( No.161 )
日時: 2010/07/30 19:36
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

50【七魔将の想い】


塔子の通う 百宮学園中等学校


天馬は門を通り、息を切らしながら校舎を見渡した。
しかし、すでに校舎内には誰もおらず、避難した後だった。
「どこに避難したんだよ!!」
天馬は叫びながら後ろ振り向いた。その瞬間だった。


「誰だ!?」


門の前に、10人ほど囚人服を着たNPSの受刑者が立っていた。
「敵・・・・くそ!!」
天馬は両手から炎を出すと、10人の敵に向かって走り出す。
「能力者だ!!全員、気をつけろ!!」
一人の男が叫んだその時。

「うらぁ!!」

天馬は5人を一気に炎で吹き飛ばす。
残った5人は一瞬呆然としていたが、持っていた鉄パイプで天馬に襲いかかる。
天馬は鉄パイプの攻撃を避け、3人の男を噴射した炎で再び吹き飛ばした。
「ちっ・・・・フルフル!!お前がやれ!!」
男が残っている茶髪に顔が傷だらけの男に言う。
「しょうがねぇな。」
フルフルはそう言うと、両手を液体化させて天馬の首を掴んだ。

「なっ!?」

天馬は振りほどこうとするが、液体のため攻撃してもすり抜けてしまう。
「餓鬼が俺らをなめるな。あばよ。」
フルフルの脇に立っていた男は鉄パイプを振り上げる。
その時だった。


「アイアン・ナックル!!」


右手を鉄に変え、そのまま立っていた男を殴り飛ばす。
「み、三木先輩!!!」
天馬の目の前に突如現れた三木は、フルフルの方を向くと腹部を殴る。
しかし、液体化したフルフルには物理攻撃は意味がない。
「そんな攻撃、俺に効かねえよ。」


「これはどうだ?」


フルフルの真上から、篠左記が突然現れ、両手から緑色の電撃を繰り出した。
「なっ!?ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
フルフルは電撃を喰らい、その場に気絶する。
天馬は息を荒げて2人を見ると、一礼してお礼を言う。
「あ、ありがとうございます。」
「それより、なんでこんなところにいる?大半は避難したぞ。」
篠左記の言葉に、天馬は目の色を変えた。
「避難って、どこに避難したんですか!?」
「東京から出れないんでね。近くの公民館に避難させてある。東京支部の社員が見守ってるから安心できるしな。」
天馬はその言葉を聞くと、公民館がどこにあるか聞いた。
しかし、2人は答えようとしない。
「公民館の場所は言えない。君は三木と一緒に、すでに奴らに占拠された渋谷区に行ってもらう。」
「俺の自家用大型トラックで行きます!!」
「え?ちょ、ちょっと!!!」
天馬は強引に三木に引っ張られ、そのまま渋谷区へと向かった。


**********


東京タワー


「ふふん♪」
鼻歌を歌いながら、腕まである青い髪に透き通るような青い瞳を持つアビーは椅子に座っていた。
「調子はどうだ?」
アビーの後ろのエレベーターが開き、バエルこと神谷零が現れる。
「リーダー、特に変化はありません。この結界を破れる者はいませんよ。」
アビーは自信満々に言うと、笑顔で立ち上がる。
望遠鏡に近づき、戦場となっている東京の街を眺める。
「東京もこれまでですね。東京支部の連中も、時間の問題でしょう。」
「あぁ。だが、アガレスが死んだのは誤算だな。」

「え!?」

アビーはその言葉を聞き、表情を一気に変えた。
「アガレス第2魔将が・・・・やられたんですか・・・・」
「共倒れだ。寂しくなるよ・・・アガレスは唯一、俺が心を許せる男だったのに・・・・」
バエルは寂しそうに言うと、アビーの顔を見る。
「彼のためにも、この計画は必ず成功させるぞ。」
「当然です。死んでいった者達の想いを、願いを必ず実現させます。」
アビーは力を込めて言う。


「勝つのは、我々だ。」


**********


杉並区


大通りに倒れる数十人のNPSの受刑者達。全員、胸を切られて重傷の状態だ。
さらに、杉並区を担当していたアモンは、頭から血を流して大通りに佇んでいた。
「はぁはぁ・・・あいつは・・・・一体・・・・」
アモンは頭からの出血を右手で押さえながら、とにかく何かから逃げていた。
その時だった。


「It is useless even if running away」


アモンの目の前に、フードを被り英語を喋る謎の男が現れた。
「英語なんか喋るなよ・・・」
「We are the third people. If it is not an enemy, it is not ally either」
「通じねぇか・・・」
アモンは痛みに耐え、戦闘態勢にはいる。


「やるからには、紳士らしく戦う。」


「・・・・・It hopes」