ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━ESP━『エスパー』更新再開♪14話うp ( No.58 )
- 日時: 2010/07/04 17:13
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
15【IQ140の天才刑事】
百宮学園高校
グラウンドに整列させられた生徒は、壊れた体育館と窓が全壊した校舎を唖然と見ていた。
「七海!!天馬がおらへんで!!」
天馬のクラスメイトであり、友人である日高将は七海に問う。
「さぁ・・・どこかで欠伸でもしてんじゃない・・・」
「・・・なんかあったんか?」
将は七海の暗い表情を見て疑問を抱く。いつもの七海ではないのは確かだ。
七海は体操座りのまま俯き、大きなため息をついた。
天馬、あなたは
一体何者なの・・・手から炎出して・・・・
七海は先ほどのことを思い出す。
天馬は手が刃物になった男と戦っていた。
男は、確かに天馬に向かって「同志」と言ってたから、天馬は超能力者?
「もう・・・・分かんない・・・・」
七海がそうつぶやいたその時だった。
「皆さん!!こんにちは。」
七海はマイク越しに聞こえる男性の声に驚き、前を向いた。
一番前に、スーツ姿に顔がキリッとした謎の男性がマイク片手に立っている。
「私は東京県警殺人課に勤める刑事、傘本正義といいます。ただいまより、君たちには強制帰宅してもらう。」
傘本は職員の方を向くと、職員は各クラスの前について生徒を立たせた。
七海も言われるがままにその場を立つ。
「今日から2日間、君たちは自宅待機。今回の体育館崩壊及びに校舎の窓全壊の原因が分かるまでです。」
傘本はマイクを職員に渡し返すと、そのまま校舎の方へ歩いて行く。
七海は傘本の経緯が気になり、生徒を掻き分け校舎の裏へと走った。
どうやらばれなかったらしい。
このまま・・・・
「わいもついてくで!!」
「きゃ!!・・・って日高・・・・」
七海は突然の声に後ろを振り向く。
そこには笑顔で楽しそうな日高が立っていた。
「なんで一緒に来るのよ!!」
「このまま帰れるか!それに、あの警察テレビで見たことあるで。」
「テレビ?」
七海は日高の言葉に首を傾げた。
「あの刑事、外国のテロ事件にも加わるすごい刑事や。一時期有名になったこともあるで。」
「そういえば、ずいぶん前に聞いたことあるかも・・。」
七海は傘本の顔を薄らだが頭に思い浮かべ、以前見たことがあるような気がしてきた。
「そ、それより!!早くあの刑事追いかけよ!!」
七海は傘本のことを考えるより、傘本の行動が気になる。
2人は隠れながら、傘本の後を追った。
**********
体育館
傘本は白い手袋をしながら、現場を見渡した。
体育館の屋根は完全に消え、その残骸が体育館の床を覆い隠している。
「・・・手抜き工事という雰囲気はないな。」
「傘本先輩!!」
傘本の後ろから、警察制服を着た女性が走ってやってきた。
「加藤刑事、何か分かった?」
同じ殺人課に勤め、傘本の助手である加藤留美は一枚の紙を手渡す。
傘本は体育館から紙に視線を移すと、眉間に皺を寄せた。
「先ほど分かったことです。1−2の生徒である海藤天馬が現在行方不明です。」
「この生徒・・・名前をどこかで・・・・」
写真も添付されていたので、傘本は天馬の顔を見た。
その時、傘本は表情を一変し驚きの表情を見せた。
「こいつを探せ!!今回の事件と関連性があるかもしれない!!」
「え?でも、ただの生徒ですし、安全課か交通課に任せれば・・・」
「殺人課でやれ!!急げ!!」
傘本の言葉で、加藤は一礼をしてすぐさま応援を呼びに行った。
傘本はもう一度添付された天馬の写真を見る。
「こいつは・・・・昔の連続不審火事件に関わっていた・・・・子供。ここで再び会うとは・・・」
傘本はそう言うと、紙を折りたたんでポケットにしまい、校舎の方へと足を進めた。