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- Re: ━ESP━『エスパー』第1部完結間近 ( No.71 )
- 日時: 2010/07/07 19:59
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
20【任務失敗】
呆然立ち尽くす天馬、亜樹、三郎、算介、三木。
5人の右方向には、円が先ほど投げられた衝撃で車の上で気絶している。
突如現れた3人に、移送車が奪われた上、紅月と拘束していた火山までもが奪われた。
「ど、どうするんですか・・・・」
天馬は三郎の顔を見ながら聞く。
さすがの三郎も、この出来事に動揺しており、表情はいつもと違った。
「問題は・・・移送車が奪われたことではない・・・。なぜ、我々が通るルートを知っていたかだ。」
三郎は全員の顔を見渡す。
天馬は三郎の言葉の意味が分からない。だが、その言葉の意味を知った途端、鳥肌がたった。
「密告者がいる。・・・・裏切り者が・・・・」
「そんな・・・」
「嘘よ・・・」
亜樹と算介、三木に天馬もそれを否定したいが、確かに三郎の言葉は正解である。
今回の移送車が通るルートは会社以外の人間は知らないはず。
それなら、内部に先ほどの奴らの仲間がいるということだ。
「ま、待てよ!!でも、今回の任務は東京支部だけじゃなくて、千葉支部も知ってんだろ?」
算介の言葉に、三郎は頷く。
「あぁ。東京支部には300名以上、千葉支部には400名以上の社員がいる。今この時点で、容疑者総勢700名。」
「はぁ!?」
会社のことをよく知らない算介と天馬は、その数字の多さに驚いた。
700人もの人間に一々事情聴取をしている暇はない。
「とりあえず、社長に連絡しろ。応援と救急隊を呼ぶように。」
三郎がそう言うと、亜樹が携帯を取り出し会社にかけ始めた。
「三木は円の応急処置だ。天馬、算介は俺と周辺を警戒する。また襲ってくる可能性があるからな。」
天馬と算介は頷き、三木は急いで円の元へ走って行った。
三郎は大きなため息をつき頭を抱える。
算介もため息をつき、地面に拳を叩きつけた。
「ちくしょう・・・何なんだよ!!」
天馬も空を見上げ、車内での紅月と話した時のことを思い出す。
「木枯先輩・・・・」
火山隼人 NPS移送任務
失敗________
───────
某所 場所不明
「たっだいま〜っと!」
地面から草の様に生え出てくる移送車とその上に乗ったタキシードの男性。
周りはどこかの建物の地下駐車場のようだ。
移送車の前には、シャドウと白髪ロングヘアーの若い男性が立っていた。
「アモン侯爵、移送車の中には何人いる?」
白髪の男性がアモンに尋ねると、アモンは車の上から降りて中を覗く。
その時だった。
「うらぁ!!」
紅月が剣を振りかざしながら車内を飛び出した。
「おっと♪その程度の攻撃なら効かないよ。」
アモンはタキシードについたマントを靡かせながら言う。
紅月の背中には火山が脅えた様子で挙動不審になっている。
「降りろ。邪魔になる。」
「わ、わいは能力使えんのや!守ってや!!」
火山は紅月の背中に隠れる。
シャドウが紅月と戦おうと前に出るが、白髪の男性がシャドウを止めた。
「アガレス第2魔将がお相手になろう。」
アガレスは白髪の髪を靡かせ、紅月に向かって走り始めた。
「武器なしでやる気か・・・なめるな!!」
紅月は両目でアガレスの手を見る。
神経を破壊すれば、こっちが有利だ。
そう思った次の瞬間!!
グシュ!!
「え・・・・?」
紅月は自分の目を疑った。
下半身が、腹部から下が消え、上半身の切断部分から溢れだす大量の血。
「な・・・んだ・・・これ・・・・・」
紅月は意味が分からず、その場に倒れ込んだ。
足がない。そう思った時には地面に倒れていた。
「まったく、君たちは弱いんだからーーー」
頭上から聞こえるとても幼い声。
紅月は最後の力を振り絞り、視線を上に向けた。
目の前にいるのは・・・・子供!?
まだ小学生のような子供が目の前にいる。幻覚や幻ではない。
「ありゃ?まだ死んでないね・・・・バイバーイ♪」
子供は紅月に両手を向ける。
「社長・・・・申し訳・・・ございま・・・・
グシュ!!
──────