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Re: ━ESP━『エスパー』20話うp♪ ( No.77 )
日時: 2010/07/08 16:01
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

21【お出かけ】


移送任務 翌日


天馬は社長の命令で強制帰宅し、命令があるまで家で暇を潰していた。
現在の状況はかなり大変のようだ。
社員である木枯紅月、移送中の火山隼人は未だに行方不明。
無論、襲ってきた3人についての詳細も何1つ分かっていない。
天馬はベットに寝転ぶと、時間を確認する。
まだ朝の10時だ。ご飯も歯磨きもすべて終わらせ、やることはない。

「天兄〜ぃ♪」

ドアが開き、塔子が笑顔で入ってきた。
「なに?」
「今からさ、デパート行かない?」
「え・・・・?」
塔子の平和な質問に、天馬は一瞬戸惑うが、何もしないよりは良いかもしれない。
天馬は笑顔で頷く。すると、塔子が天馬の腹めがけて抱きついてきた。
「やった!!用意したら行こう!!」
「うん。いいよ。」
塔子は天馬の了解を得ると、笑顔で部屋を出ていく。
天馬は携帯を確認し、会社から呼び出しがないか確認する。
しかし、携帯には着信もメールをない。
「大丈夫・・・・だよな・・・・・」
天馬はそうつぶやくと、デパートへ行く用意を始めた。


**********


会社‘アビリティ’ 東京支部


「紅月君の居場所は?」
「現在捜索中です。任務に出かけている全社員を呼びもどし、総力をあげて探しております。」
社長の冥堂は、デスクでパソコンや資料を見ながら三郎に命令を言う。
冥堂の隣には、昨日の戦いで負傷した円が、頭に包帯を巻いて立っている。
「我々の中に・・・・裏切り者がいます。」
「分かってる。千葉支部でも社員の尋問を始め、関東全支部に注意を呼び掛けている。」
社長は立ち上がり、一枚の資料を三郎に渡した。
「これは?」
「敵の一人に、影を操る者がいたのだろう?それは以前の任務資料だ。数年前に似た能力者が犯罪を起こしている。」
三郎は社長から渡された資料を黙読し始めた。


──────
任務調査書 ○月○日
容疑者の名前:暗原ミチル
年齢:21歳
容疑:重窃盗殺人未遂
東京世田谷区で起こっていた連続車上荒らしの犯人。影を使い、窓ガラスを割ることなく盗みを働いていた。
しかし、5件目の犯行で一般人に目撃され、目撃者を殺害。
その後‘アビリティ’千葉支部に逮捕されNPSに投獄。
──────


三郎は資料を読み終えると、顔写真を見た。
黒い髪にウエーブがかかり、見た目は暗い感じの青年だ。
「こいつです・・・・。でも、NPSに入獄したなら・・・」

「脱獄している。お得意の能力でね。」

三郎はその言葉を聞き、表情を変えた。
「あのNPSからですか!?」
「そうだ。しかも入獄の翌日に脱獄。セキリュティシステムにも引っかからずにな。」
三郎の頭に言葉が浮かばない。
あの難攻不落と言われている刑務所から、脱獄した者がいるとは・・・しかも翌日にだ。
「現在詳細がつかめたのはその男だけだ。後のタキシードを着た男性に白髪の男性の詳細は分からん。」
「分かりました。すぐに、Aチームも総力をあげて・・・・」


「天馬君には知らせるな。」


冥堂は突如顔色を変え三郎に言う。
三郎は首を傾げて質問した。
「なぜです?人手は多い方がいいのでは?」
「今回は天馬君抜きだ。少々危険な匂いがするからね。代わりに、三木君をAチームに配属させる。」
「・・・・了解。」
三郎は資料を持ち、社長室を後にした。


**********


何も知らない天馬は、塔子と共に東京駅にいた。
今から向かうのは、渋谷区にある渋谷109あそこには何でもある。
「ねぇねぇ!!映画見よ!!そのあとは・・・」
塔子は久々のお出かけにテンションが上がり、家を出てからずっと笑顔である。
まあ、ずっと施設にいた頃と比べたら、今は死ぬほど幸せだろう。
血は繋がっていないが、それでも家族の一員と思っている。
天馬は切符を買い、塔子と共に10時30分発の電車に乗った。
渋谷駅までは10分もかからない。
「天兄・・・楽しもうね!!」
「うん。映画は・・・」
天馬たちの乗る電車のドアが閉まり、電車が動き出す。

しかし、この電車は最悪の道に向かう_____



入り口だった______