ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━ESP━『エスパー』キャストうp♪ ( No.79 )
- 日時: 2010/07/08 18:10
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
22【音VS炎(前編)】
東京駅から渋谷駅へ向かう電車内
塔子と会話しながら、天馬は時折脳裏に霞める会社のことを思う。
しかし、今は何も知らない塔子と一緒だ。なるべく考えない方が良い。
天馬と塔子は電車の中で計画を練っていた。
映画、昼飯、買い物、最後は2人で思い出に残る物を買うと決めた。
「天兄、映画何見る?」
「ん?え〜っと・・・これは?」
天馬は先ほど、電車に乗る前に改札口で配られていた映画パンフレットを開く。
その中に、今話題の映画に指さす。
高校生の天馬と中学生である塔子にはちょうどいいホラーな映画だ。
「ホラーか・・・楽しそう!!」
塔子は女の子にも関わらず、ホラーの映画に喜ぶ。
天馬は塔子の無邪気な笑顔に、心のどこかで安心した。
その時だった。
ガタン!!
天馬達が乗る車両の上に、何か落ちてきたような音が聞こえた。
「なんだ?」
天馬に塔子、周りにいた数十人の乗客が車両の天井を見上げる。
微かだが、足音のような音が聞こえる。しかし、この電車は走行中。
天馬は不審に思い、塔子を引っ張り前の車両へ向かう。
「どうしたの?」
「いいから前の車両に移ろう。」
天馬と塔子が前の車両に向かうその瞬間だった。
「久しぶり・・・海藤天馬・・・」
瞬きはしていない。天馬の目の前に、突如予想を越えた人物が現れた。
「ク、クライム!?」
「ふ〜ん・・・彼女?妹?どっちでもいいや。」
クライムはニヤニヤと笑いながら塔子を見る。
塔子はクライムに恐怖を感じ、すぐに天馬の背中に隠れた。
クライムの後ろから柳沢が現れ、天馬を見ると不気味な笑顔を見せる。
「仲間の仕返しか?」
「そんなつもりで現れたのではない。ちょっと気になってね。」
クライムは近くにあいてある席に座る。
「なにかあったらしいな。答えろ。」
「お前に教えることはない!!さっさと消えろ!!」
天馬は叫びながら塔子の手を引っ張り、前の車両へ向かうとした。
「答えなければ、この電車を攻撃する。これぐらい、俺一人でできるからな。」
天馬はクライムの言葉で振り向き、クライムの目を睨みつける。
しかし、クライムは天馬と反対で穏やかな目で見つめる。
「答えろ。お前に、選択権はない。」
「・・・・無理だ。」
天馬は塔子やほかの乗客を見ながら答えた。
一般市民の前で、能力や会社のことは話せない。
勿論、クライムもそのことを知っていて質問している。
「そうか・・・いや、そうだろうな。ルールに忠実だな。天馬君♪」
クライムは立ち上がると、天馬の目を見る。
「音と炎、どっちが上か決着つけるか?学校襲撃の時は戦えなかったし。」
天馬はクライムの言葉にある確信をした。
こいつは一般人巻き添えで戦うつもりだと________
「塔子!!走れ!!」
「え?う、うん!!」
塔子は天馬の叫び声と同時に前の車両へと走り出した。
「音波!!」
パン!
クライムが両手を合す。音が鳴り、その音が衝撃破となって車両を内部から攻撃した。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「化け物だ!!逃げろ!!」
天馬達と同じ車両に乗っていた乗客は、すぐ様違う車両に逃げていく。
天馬は衝撃破に耐え、クライムに向かって能力を使おうとする。
しかし、どこかでそれを拒否する自分がいた。
「能力は使わないつもりか?舐めるなよ!!」
クライムは着ていたジャケットの裏から、鉄の棒を取り出す。
「俺の武器は音・・・・鳴り響かせるぜ!!」
クライムは鉄の棒を天馬に投げつける。
しかし、天馬はそんな単純な攻撃は軽々と避けた。
「避けるだけじゃ、無理だ。」
クライムがそう言った途端、鉄の棒は空中でぶつかり大きな音を響かせる。
その音が、衝撃波となり天馬に襲いかかった。
「うっ!!」
考え尽された攻撃に、天馬は避けることができずに直接喰らう。
床に倒れ込み、そのまま壁にたたきつけられた。
周りから聞こえる一般人の悲鳴と、天馬の名前を叫ぶ少女の声。
「塔子・・・・守らないと・・・・・」
天馬はそうつぶやきながら立ち上がる。
しかし、戦う術がない。
どうすればいいんだ_______