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- Re: ━ESP━『エスパー』21&22話うp♪ ( No.82 )
- 日時: 2010/07/09 19:43
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
23【音VS炎(後編)】
壁に叩きつけられた天馬を見て、違う車両から見ている一般人が悲鳴を上げる。
塔子も悲鳴を上げ、思わず涙を流して駆け寄ろうとする。
「塔子!!来るな!!」
しかし、駆け寄ろうとした瞬間に天馬に呼び止められる。
「人の心配より、自分の心配をした方がいいんじゃない?」
クライムは鉄の棒を拾い上げると、天馬に突きつける。
「お前は甘すぎる。まだ、子供だな。」
「黙れ。お前よりは全然大人だよ。」
天馬の言葉が引き金となる。
クライムが鉄の棒を投げつけようとしたその時だった。
「うらぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
天馬の頭上から雄たけびを上げながら一人の男性が現れた。
「なっ!!」
革ジャン姿にサングラスをかけ、煙草を口に回転蹴りをクライムに喰らわす。
しかし、クライムは素早い瞬発力で攻撃をかわし、すぐ様後ろに下がった。
「誰だ・・・・?」
「ったく、東京支部はアマちゃんばっかだな・・・」
男性は髪をボリボリ掻きながら、サングラスを外して革ジャンの胸ポケットに終う。
「餓鬼がこんな所で遊びやがって・・・。能力使う必要もねぇな。」
男の言葉に、天馬はある疑問を抱く。
「東京支部の社員じゃ・・・・ない・・・・」
男は煙草を吐き捨てると、両手を構えてクライムに向かって走り出す。
「餓鬼がなめんじゃねぇぇぇぇ!!!!!!!」
男は回し蹴りをクライムの顔面に向かってする。しかし、クライムは先ほどと同じように避ける。
すると、男はクライムの懐に入り込み、そのまま右手で顎めがけてパンチをした。
「がっ・・・・・はっ!!!」
スカイアッパーは見事クライムに命中。
クライムは血を吐きながら床に倒れ込んだ。
「次の渋谷駅に仲間が大勢いる。逃げ場はねぇ。」
「くっ・・・・烈香・・・・引き上げだ・・・・」
クライムの後ろにいた柳沢は急いでクライムに駆け寄る。
「また・・・会おう。天馬・・・・。」
クライムはそう言い残すと、その場から柳沢の能力で消え去った。
**********
渋谷駅
天馬は塔子と男性と共に渋谷駅に降りた。
「早く行け。サツとその他はこっちに任せろ。」
男性はそう言いながら携帯を取り出した。
「天兄・・・大丈夫?」
塔子はハンカチを取り出し。天馬の額の切り傷から出ている血を拭きとる。
「ありがとう。」
「早く行け!!面倒になんぞ!!」
男性の言葉で2人は顔を合わせると、すぐにその場から立ち去ろうとした。
が、天馬はあることに気がついて足を止める。
「あの・・・名前は?」
「あ?俺は荒井吭。千葉支部の社員だ、さっさと行け!!」
「は、はい!!」
天馬は一礼すると、塔子と共にその場から走り去った。
「ったく・・・また報告書の山だな・・・・」
荒井は煙草を咥え、サングラスをかけるとその場から歩き去った。
**********
渋谷
2人が渋谷街に着いたのは結局昼過ぎだった。
「どうする?昼御飯でも食べよっか。」
「うん!!」
天馬は先ほどのことを忘れ、塔子との時間を楽しく過ごす。
昼食を終え、映画館に向かう。
映画は約2時間で見終え、そのあとはデパートで買い物を満喫した。
デパートの3階、ペットショップの店を通り過ぎた時だった。
「天兄、さっきの人と知り合い?」
塔子の突然の質問に、天馬は一度首を傾げる。
だが、すぐに荒井のことだと分かった。
「え・・っと、まあ顔見知りみたいな・・・・」
「嘘ついてないよね?それに、天兄と戦っていたあの人は誰?」
その質問には、さすがにフォローできるような答えが見つからない。
天馬はチラリと塔子の顔を見る。
塔子は天馬の目を見つめ、答えを待っている。
「・・・・塔子、誰にも言わない?」
「うん。天兄の頼みなら、何でも聞くよ。でも、隠し事はなし!」
塔子は笑顔で承諾した。
天馬は塔子に真実を話すため、一旦デパートを出ることにする。
デパートを出ると、適当なカフェに入った。
一番奥の窓側の席に座り、ドリンクバーを注文する。
「これで、真実を話すのは塔子で2人目だ。」
天馬はそう言うと、自分の超能力、会社‘アビリティ’、クライムについて全てを話した。
「・・・・嘘」
話を終え、塔子の顔を見るとさすがに信じていない。
天馬は周りを見渡すと、塔子の目前で指パッチンをする。
すると、天馬の指先から小さな炎が出てきた。
「おぉ!!すごい!!」
塔子は目を輝かせ、天馬の顔と指を交互に見ながら笑顔になる。
「誰にも言わないでね。もちろん、父さんにも母さんにも。」
「・・・でも、いつまで隠し通すつもりなの?」
塔子の言葉に、天馬は口を瞑らせる。
確かに、会社の状況が悪くなるほど周りに気付かれやすくなる。
「隠し通せるとこまでやる。絶対に一般市民には、ばれてはいけないことなんだ。」
塔子は天馬の言葉に笑顔で頷いた。
「私、誰にも言わない!天兄、何かあったら手伝うよ。」
「・・・ありがとう。」
天馬は塔子の言葉に嬉しさを感じる。
塔子は、絶対に守る。クライムや未知の敵からも。
天馬はそう決心すると、塔子の顔を見た。
「それじゃ、買い物の続きだ♪」
天馬はそう言うと、塔子と共にカフェを出た。