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Re: ━ESP━『エスパー』参照900突破♪ ( No.94 )
日時: 2010/07/11 10:56
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

26【1ヶ月後】
 

10月 某日


10月の東京は、気温も下がり肌寒い日が続いていた。
そんな中、百宮学園高校に登校する海藤天馬は、息を白くしながら足を進めていた。
超能力専門会社‘アビリティ’を退職させられ1カ月。
生活に変化もないし、会社の方もこれといった変化はないようだ。

「おっす!!天馬!!」

天馬が門に差し掛かったところで、クラスメイトの日高が声をかけてきた。
「あれ?朝練は?」
「今日は休みや。監督が風邪引いたんやて。ったく、迷惑様々やで!」
日高と他愛もない話をしながら笑い、学校へと足を踏み入れた。

未だに体育館は工事が続いており、工事終了は来年だと聞いた。
「天馬、学校終わったらカラオケ行かへん?」
「ん?え〜っと・・・今日は無理。ごめん。」
天馬の回答に、日高は嫌な顔をする。
「なんでやねん!!なにかあんのか?」
「今日は塔子の誕生日。」
天馬の言葉に、日高は目を丸くした。
日高は眉をピクリと上げ、笑顔になる。
「もうそない経ったんや。おめでとう伝えといてや。」
「おう。」
2人は教室に入ると、自身の席に着いた。
相変わらず、天馬の席は後ろの窓側である。
「2学期早いな〜ぁ・・・・」
天馬はそうつぶやきながら、外を眺めた。
会社を退職させられ、日頃がつまらなくなってきた。
「戻りたいな・・・・」
しかし、天馬の願いは届かずチャイムが鳴り、学校生活が始まるのだった。


**********


‘アビリティ’ 東京支部


三郎は息で手を温めながら会社の中へと入った。
「あっ!お疲れ様です。」
「亜樹、今日は学校は?」
「振替です。」
三郎は納得すると、急いで暖房がかかったソファーの前に来た。
亜樹は三郎の姿を笑顔で見ると、自身も暖房の前に座った。
「天馬君と算介が抜けて、なんだか寂しいですね。」
「亜樹、それは言うな。彼らのためにやったことだぞ。」
「それは重々承知ですけど・・・・」


「おい!!そこの2人。」


亜樹と三郎は後ろから声をかけられ、同時に振り向く。
ちょうど真後ろに、千葉支部の副社長である東が立っていた。
「任務だ。世田谷区の周辺で男性が殺害された。紅月と似たような死に方だ。」
東の言葉に、2人は顔を合わせる。
「1か月前の奴らですか?なぜ今頃・・・・」
「考える前に現場へ行け!!警察も動き出してる。」
東の言葉で、2人は急いで現場へと急いだ。


**********


「世田谷区で殺人事件です!!男性が1名死亡してます!!」

部署に響く婦警の声。
「俺が行く。加藤、お前もだ。」
警視庁で勤める傘橋は、椅子にかけていたコートを取り出て言う。
「は、はい!!」
加藤も椅子にかけていた茶色のコートを取り、急いで傘橋の後を追う。

2人は1階に着くと、エントランスを飛び出し止めてあったパトカーに乗り込む。
「現場どこですか?」
「聞いとけよ、世田谷区だ。」
傘橋はアクセルを踏むと、豪快に車を発進させた。
発進した拍子に、加藤は目の前のフロントに頭をぶつける。
「痛った!!もう、運転ぐらいちゃんとしてくださいよ!!」
「はいはい・・・それで、1か月前の事件で何か分かったことは?」
傘橋の言葉で、加藤は慌てて警察手帳を取り出し目で確かめる。
「えっと、東京駅から渋谷駅で起こった奇怪事件。目撃者見つけて聴取したところ、2人の高校生を見たと。」
「高校生?どの高校か分かるか?」
「いえ、制服ではなく私服だったので分かりません。後はヤクザの様な男もいたらしいですが、そちらはさっぱりです。」
傘橋はその結果を聞き、大きなため息をつく。
今まで、傘橋は数多くの事件を解いてきたが、今回の事件は意味が不明だ。
奇怪事件はFBIに任せたいものだ。
「とりあえず、現場へ行くぞ。」
傘橋はエンジンをさらに強く踏み、現場へと急いだ。