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Re: ━ESP━『エスパー』第2部突入♪ ( No.95 )
日時: 2010/07/11 11:50
名前: 遊太 (ID: KF4wky37)

27【ショータイム】


世田谷区


閑静な住宅街は、一件の殺人事件により大騒ぎになっていた。
「関係者以外は下がって!!下がって下さい!!!」
警官は‘keep out’と黒の字で書かれた黄色の線の前で一般人を抑える。
「警視庁の傘橋だ。」
傘橋は手帳を見せながら現場へ入る。続けて加藤も入った。
現場は住宅街の前にある道路のど真ん中だった。
「こりゃ・・・・ひどいな・・・・・」
「うわっ!!」
2人は目の前にある異常な死体を見て顔を顰める。

遺体は頭部、両手、両足がない残酷な姿をしているのだ。

「残りの部分は見つかったか?」
傘橋は近くで遺体を調べている鑑識に尋ねる。
しかし、鑑識は首を横に振り残念そうな顔をした。
「まったく、不可解な事件が起こる年だな。」
「どうします?地域の警察に任せておきますか?」
「いや、一応本庁で取り扱おう。お前が仕切れ。」
傘橋の言葉に、加藤は唖然とする。
「わ、私がですか!?」
「嘘だ。とりあえず、現場を調べるぞ。」
「なっ・・・そ、そんな冗談やめてください!!」
2人は手袋をつけると、現場を調べ始めた。


**********

警察に先を越された亜樹と三郎は、車からその様子を覗っていた。
「やばいな・・・先越されたよ・・・・」
「どうします?ま〜た、東さんに怒られますよ。」
亜樹の言葉に、三郎は頭をボリボリと掻く。
亜樹は窓から現場を覗き、遺体が見えると顔色を変えた。
「よくあんな残酷なことできますね・・・・」
「まったく、なんでこんなことをしたんだ?」
三郎の頭に浮かんだのはその疑問だった。
しかし、この感じは初めてではない。
「亜樹、前にもこんなことなかったか?」
「え?別に・・・・ん?」
亜樹も今回の事件が頭に引っかかる。
その時、2人の脳裏に以前の事件と今回の事件が重なった。
「2か月前の・・クライムと同じ手口・・・ってことは・・・」
「違う場所を狙うための罠?でも、違う場所は・・・」



「会社だ!!!!」



2人は顔を合わせて思い出す。
しかし、今回の敵は姿も特定できていない未知の敵だ。
「会社に戻るぞ!!伝えないと!!」
三郎はそう言うと、アクセルを踏み大慌てで会社に戻った。


***********


‘アビリティ’ 東京支部前


背中に小悪魔が描かれた服を着ている5人は、会社を見上げて不気味に笑っていた。
「リーダー抜きでやるが、別に問題はない。俺とシャドウは最上階を襲撃。残りは適当なところから突っ込め。」
アガレスは白い髪を靡かせながら、後ろにいる6人に言う。
シャドウはアガレスの方に触れると、そのまま影の中へと沈んで行った。

「僕ちんは・・・・1階からいーこっと!」

最年少であるシャックスは、着ている緑のパーカーを脱ぎながら言う。
「俺も行こう。」
SPのような格好をしたマルバスはシャックスと共に1階へと向かう。
「それなら、俺は10階辺りから行こうかな。」
タキシードを着たアモンはニヤリと笑いながら上を見上げる。

そして、5人はそれぞれのポイントに向かって走り始めた。





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