ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Last target is ———you? ( No.1 )
日時: 2010/06/27 19:58
名前: 白柊 (ID: COldU63y)
参照: http://吹奏楽部所属です♪ お話できる方は気軽にどうぞ^^

∮ prologue ∮

雨が、降っていた。

それが何となく、気になっている。

帰り道、何となくそんな事を思っていた。
時間は午後18時30分。
行き先は、自分の家。
体調は、部活の疲れで肩が微妙に凝っている。
そして黒色の折り畳み傘を差し、時折雨粒を眺めつつ。

こんな事を思うのは、何か憂鬱な事でもあるのだろうか。
実の所、何も無い。
部活はそこそこ上手くいっているし、テストもまだ無い。
クラスだって別に大きなトラブルがあった訳でも無い。
けれど何故か自分でも良く分からない事を深く考えていた。

まぁ、別に考える時は考える時でとことん考えれば良いのだろうけど。

「はぁ……」

何となく、溜息を着いていた。
自然に出ていた、が正しいのかもしれない。
家の距離までもう少し。
帰ったら楽譜の見直しをして、勉強の予習をして、パソコンでもするか……と。


考えていた、時だった。

「……ぅ……っ」

……?
何処か、近くから呻き声が聞える。
その声は下から聞えていた。

自然に、目線を下に降ろすと。

足元に、〝何か〟がいた。

いや恐らく人だろう……か?
突然足元に人がいたせいで思わず悲鳴をあげそうになる。
けど、一応押さえておいた。

「……大丈夫、ですか?」

一応、声をかけてみる。
恐らく人の、その外見はかなりボロボロだった。
見える部分から分かる、白い肌は切り傷やら血やらで汚れている。
髪は綺麗な紅色で、ショートヘアからして男だろう。
しかしその綺麗な紅色も泥や石で汚れていた。
来ている衣服は衣服と呼べるのかさえ分からない。

ゴワゴワとしている布はこれまた汚れており奴隷服の様に粗末なデザインだった。

しかし、今の私にはそう言う髪色やら汚れやら何やらを気にしている暇は無かった。
それ以上に、驚きがあったのだ。


彼の背中には。


髪色と同じ、深紅色の翼が生えていたのだ。

prologue END