ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Last target is ———you? ( No.4 )
日時: 2010/06/27 20:53
名前: 白柊 (ID: COldU63y)
参照: http://吹奏楽部所属です♪ お話できる方は気軽にどうぞ^^

∮#1 who is you?∮

「……えっ? 翼……?」

青年の、翼の生えた、人。
常識ではとても有り得ない事だ。
偽物でも無いし、この目で見なければにわかに信じられない。

とりあえず、うつ伏せの状態を直そう。
普段部活で鍛えている腕に力を込め、翼の生えた人を起こす。
傘を肩に掛けている為、かなりキツイ体勢になっている。
幸い、こちらに気付いている様で力は抜けていた。
これで抵抗されていたら間違い無く逃げられていただろう。

「……」
さて、起こした所でこの人物をどうすれば良いか。
問題が一つ増えてしまった。
かと言って、此処で放って置くのも罪悪感が沸く。
……連れて帰るしかないか。
よし、と軽く声を出すと傘をキチンと肩にかけなおす。
そして肩を組む様な形でその青年を持ち上げる。

怪我人を運んでいるかの様な気分になりつつ(と言うか怪我人だけど)家へと歩いた。

何で、連れて帰ったのか。
———放って置けば死んでしまう。罪悪感が沸くから。

何で、不気味に思わなかったのか。
———青年の開いた瞳が人の様に、感情を持って輝いていたから。

そんな問いと答えを1人で出しつつ、家のマンションへ着いた。


ようやく着いたか、と溜息を着いて傘を何とか肩から降ろし、青年も少し降ろす。
そして傘の水を少し切り、カバーへと入れた。
ふと、青年にちらりと目をやると、青年は———
寝ていた。

規則正しい寝息を立てて、いかにも安心しきっている様子だ。

さっきまで、死にそうだったのにもう回復したのか。
ふと、そんなツッコミを入れかけた。

一応、私を敵と認めなかったから大丈夫か……と少し安堵する。
起こさない様に……とそっと持ち上げ様としたがやっぱり無理だったのがぐいっと持ち上げる。
……が、起きなかった。
相当熟睡しているみたいだ。

階段は流石によそうと思いエレベーターを使う。
急いで乗り、『3』のボタンを押す。
私の家は303号室なので。

グィン———グィン———
規則正しい機械音と共にエレベーターは上昇してゆく。
青年の寝息もこれまた規則正しいのは偶然だろうか。
少しして、ピンポーンと音が鳴るとドアが開く。
また急いで出て、303号室へと歩く。

303号室の扉へ着くと、チャイムを鳴らす。
幸いな事に今日、母はパートで居ない。
……が、一応確認で。

ピンポ———ン……。

音が響いたが、扉は開かない。
良かった、と母の不在に感謝をするとポケットから鍵を出し扉を開ける。

……あぁ、ついに此処まで来てしまった。
軽く、後悔を覚えつつ。