ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Last target is ———you? ( No.11 )
- 日時: 2010/06/29 17:20
- 名前: 白柊 (ID: COldU63y)
- 参照: http://吹奏楽部所属です♪ お話できる方は気軽にどうぞ^^
∮#3 heart___?∮
記憶喪失。
小説や漫画などでは比較的使われているのではないかと思う。
しかし、こうも現実に現れるとは思いもしなかった。
現実の記憶喪失は、重い。
小説や漫画で見る記憶喪失の人物よりも果てしなく心苦しいだろう。
ふと、そんな事を思った。
「……そうなんだ」
私は記憶喪失では無い。
けれど、とてもルファに親近感を持っていた。
何故かと言われても説明出来ないけれど。
……こう言うのをビビッと来る、と言うのか。
ルファに、行くあては無いのか。
翼がある以上、交番とかに行かせる事は出来ない。(そもそもそんなつもりは無かったけれど)
かと言って出てけと言うわけにはいかない。
……家族にバレたら大目玉喰らいそうだ。
とりあえず、今日は何とかして凌ごう。
「じゃあ、ルファ……とりあえず——————」
私の家でよければ居て大丈夫だからと、言おうとした。
でも、言おうとしたその瞬間。
言葉は不自然なところで途切れてしまった。
ガシャァァァァァァァァァァン!!
耳をつんざきそうな、ガラスの割れる音が聞えた。
これにより、私の言葉は一旦止まってしまう。
一体、何があった——————?
咄嗟にベッド付近にある窓を見る。
すると、この目で見なければにわかに信じがたい光景が映る。
何と私の部屋に。
人間とは呼びがたい、化け物が入ってきたのだ。
「な、っ…………!!?」
あまりの驚きに、言葉が出ない。
突然入って来た事にも驚いたが、もっと驚く所はその外見だ。
黒色のゴワゴワとしている皮膚に覆われており、紅色の目は殺意にギラギラと輝いている。
手の爪は黒色で、剣の先のように尖っていて、その手には鈍器の様な武器が握られていた。
口は横に大きく、外見に不似合いな白い歯は爪の様に尖っていた。
簡潔にその外見を表すなら、化け物。
突然に入ってきた化け物はこちらをジロリと見ると獲物を見つけた肉食獣かの様にその瞳を輝かす。
怖い、と言うより恐ろしい、の方がある意味正しい今の私の感情だった。
間違いなく少ししたらこちらにその鈍器が振り下ろされる。
当たれば死、良くて重傷だろう。
こちらも何か武器があれば良いのだろうか。
理由は不明だが、化け物は何故かまだ動いていない。
様子を窺っているらしい。
チャンスか、と思い私は武器になるものとして買い換えた譜面台がある為使わなくなった譜面台を持つ。
これならそこそこに強度もありそうだと思ったからだ。
武器を持つと、今度はルファに呼びかける。
「ル……ルファ! 今は危ないから、逃げていて!」
いくら汚れを取り除いたとは言え、表情や身体の傷はまだ重傷を物語っている為だ。
ここで、ルファに死なれたら困るのはこっちだとも思ったので。
ルファは分かった、と頷くと急いで逃げる———
はずだった。
「グ……ガァッ! ゴガァァァァァァ!!!」
化け物は獲物を逃がさまいと必死な獣の様に。
ルファへ向かって鈍器を振り下ろす。
本来のターゲットは、ルファだったのか。
あるいは私達二人とも殺すつもりだったのか。
「ル……ファ!」
私は化け物が動くと同時に、動いた。