ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Last target is ———you? ( No.15 )
- 日時: 2010/07/02 20:12
- 名前: 白柊 (ID: COldU63y)
- 参照: http://吹奏楽部所属です♪ お話できる方は気軽にどうぞ^^
∮#05 2nd heart∮
不思議な心は脳に伝わり、神経を動かすかの様に満ち溢れてくる。
安らかな光を受け、進む勇者の様な気分だ。
即ち、勇気と言う気持ちなのだろうか。
ただ一言で勇気、と表すには難しい感情だった。
「……さっさと出てけ……化け物!!」
最初はやや冷たく。
語尾は叫ぶように、化け物に語りかける。
語ると言うよりはもう命令に近い。
出て行け、この場所から去ってしまえ、と。
化け物は鈍器を振り下ろすのでもなくルファを殺すのでもなく。
怖がっていた、恐れていた。
何故? と思えるくらいに私を恐れている目で。
まるで私を化け物かと見ている目で。
そして。
化け物はあろう事か去って行った。
壊した窓から、包丁を持った相手から逃げる様に。
さも恐ろしそうに逃げてゆく。
「……今のお前の力は、〝心〟だ」
ルファは私の疑問を見透かしている様に言った。
心? 私の心が力に?
一言で語られても全く訳がわからない。
「心? 力? どう言う意味?」
「……何故かは知らないが先ほど思い出した記憶だ。
奴は精神を食らう魔物、その鈍器で人を殴り相手に最も身近で恐ろしいと感じるものを見せる。
大抵それを見せられた人間は自我を失い発狂し死ぬ。
発狂死だ。魔物は死んだ人間から〝自我〟即ち精神を食らう。」
「じゃあ、さっき私にもう一回鈍器を振り下ろした理由は?」
「推測だが……1回振り下ろした時に完全に発狂しない人間は何度か振り下ろすのでは無いか?」
ルファはそう言った。
私も分かったかの様な台詞は見せたものの実はあまり分からない。
と言うか、記憶が少しだけれど取り戻せたのか。
精神……精神を食らう魔物。
身近なものであり、最も恐ろしいもの。
私の場合〝絶望〟なのだろう。
発狂死……そう言えば私も発狂死しそうだったのか。
考える事はまだまだありそうだ。
でも、とりあえずは今の現状を何とかしないと。
と、思っていた時。
またも突然の来訪者がやってきた。
「おい! どうしたんだよ! 強盗でも入ったのか!?」
「やぁ……と言うかその後ろに居る人は誰?」
正体は私の幼馴染。
黒山 瞳と黒山 柚だ。
二人とも女っぽい名前だけど、れっきとした男。
苗字が同じなのは瞳と柚が双子の為。
「大丈夫か? と言うか入るぞ?」
やや男前な優しさを見せたのは瞳。
外見は茶色のショートヘアに焦げ茶の目。
身長は167cmと中2にしてかなりの背を有している。
どっちかと言うと双子の内彼がツッコミ役だ。
「……ユリでも彼氏とかって出来るんだね、年頃って奴?」
やや共感出来そうな皮肉を言ってきたのは柚。
外見は瞳より少し長い黒色のショートヘアに黒目。
身長は160cm。瞳と対すると差が有りそうだが彼もそこそこ身長はある。
そして彼は正真正銘ボケキャラ。
プラス皮肉毒舌キャラでもある。
「……」
突然降ってきた質問の雨に私は答える術を持っていなかった。