ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Last target is ———you? ( No.23 )
- 日時: 2010/07/04 14:38
- 名前: 白柊 (ID: COldU63y)
- 参照: http://吹奏楽部所属です♪ お話できる方は気軽にどうぞ^^
∮06 いつか、どこかで∮
「とりあえず……入ってきたのは人間じゃなかったよ」
いくつかの質問に、少しだけ答える。
と言うか私にもわからない質問ばかりだ。
後ろに居るのはルファ、とは言えるがそれが何者かといわれても答えられない。
化け物が入って来たと言われてもどんな化け物なのか詳しい事は私にすら分からない。
……結局、分からない事しかない気がするけれど仕方が無かった。
「……彼は、ルファって言うの、道端で倒れている所を助けて……今に至る、みたいな?」
「僕らに疑問系で返されても答えられないよ、君じゃないから」
「お前のお人よしは本当に昔からだな」
またも皮肉を言ってきた柚に対し、瞳は溜息を着く。
小学生時代からの腐れ縁もあってかその溜息は何処か切実だった。
まぁ、本当の事なんだろうから切実なのは当たり前だけれども。
「……ルファ、って言ったね? 僕は黒山 柚って言うんだ、宜しく」
「…………あぁ」
シャイなのか無口なだけなのかルファは短く答える。
まぁ確かにいきなり自己紹介をされても困るけれど。
柚は特にそれを気にするまでも無く話を続ける。
「君は……あの化け物の一味じゃないよね?」
「そうだと思う……」
「そうだと思う? それじゃあ駄目だよ」
柚はさらに問い詰める。
何故いきなり、と私は止めようとするが柚はルファしか見ていない。
これは柚の昔からの癖でもあった。
軽口を叩きつつ、自分の知りたい情報を相手から引き出す。
しかし今は、軽口が入っていない。
何かは良く分からないが彼は少々怒っている模様だった。
「おい、柚。少しよせ。」
すぐさま瞳が制止に入る。
怒った柚を止めるのは瞳。怒った瞳を止めるのは柚。
この双子の決まりであった。
柚は瞳の方へ振り返る。
「……どうして? 止めに入る理由なんて、無いでしょ」
「そいつ、記憶喪失なんじゃねぇのか?」
瞳の恐るべき勘が、出てくる。
柚が誘導尋問を得意とする様に彼は勘がとても良い。
恐れるべき双子である。
ルファは瞳の発言を聞いて少し焦っている。
「……ぅ…っ」
と、思いきや彼は倒れた。
疲れが頂点に達したのか、精神が限界だったのか。
跪く様になった瞬間上半身だけが床に倒れ、やがて足も倒れる。
私は急いで彼をベッドへと乗せる。
無理も無い、あんなに重症だったのだから。
立っていられた方が奇跡だったのかもしれない。
「……あれ、瞳のせいで倒れちゃった?」
「どうして俺のせいにするんだ、お前は」
柚は倒れたルファに少し謝罪の表情を見せつつ瞳を見る。
瞳は何で俺なんだよ、と言わんばかりの表情で柚にツッコミを入れた。
誰のせい、とは此処では言い難い。
寧ろどちらとも悪いと言うべきなのか。
「……ルファは、倒れている時かなり重症だったの」
「そうだったのか……じゃあ、僕のあれはあまり良くなかったね……で、ところでさ」
柚は謝罪の表情を濃くする。
そして、今恐らく最も返事の困る疑問を突き出した。
「彼の背中に、どうして翼が生えているの?」