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Re: 悪魔達の宝探しゲーム ( No.10 )
日時: 2010/07/01 06:30
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: CkpTUGPA)

第1話


城の外に出ると、炎の中で苦しむ罪人達の悲鳴が聞こえた。
喉が潰れ他罪人達のしゃがれた声、五月蠅い悲鳴が、いやでも耳に入ってくる。
ルシファーはひっそりと眉を寄せ、その光景を見ていた。

「……ルシファー様、準備は整いましたか?」

頭上から、心地の良い声が聞こえた。
見上げると、炎の戦車に乗ったベリアルが、こちらに手を差し伸べていた。
ルシファーはコクリと頷き、ベリアルの手を握る。
ベリアルはルシファーの手を引き上げ、炎の戦車に乗せた。

「では、行きますか」

ベリアルはそう言って、ルシファーに笑いかけた。
戦車が進み、罪人の悲鳴が小さくなっていく。
ルシファーは空を見上げながら、ベリアルの後ろで座っていた。
その時、空で何かが飛んでいる所が見えた。
もう一度よく見ると、ドラゴンに乗り、旗と槍をもった貴族のような少年が空を飛んでいた。
アスモデウスだ。
いつもは人間と牛と羊の頭がある姿をとっているのだが、今日は人間の頭だけだ。
それに、足にはガチョウのような水かきもなく、黒い靴を履いていた。
ルシファーはアスモデウスの姿を見て、ニヤリと笑った。

「……ベリアル、止まれ」

ルシファーがそう指示すると、ベリアルは戦車を止めた。

「あれに向けて、撃て」

ルシファーはアスモデウスを指差し、ベリアルにそう言った。
ベリアルは戸惑いながら、ルシファーの顔を見る。

「……いいんですか?」
「いいから撃て。あいつはこのようなことでは死なないだろう」

ベリアルはそれを聞いて、コクリと頷いた。
戦車の隅に置いてある大きな銃を手に持ち、銃口をアスモデウスの方に向ける。
狙いを定め、引き金を引いた。