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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 壊れた愛を囁くの。 ( No.12 )
- 日時: 2010/07/04 12:16
- 名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: hNhLtowv)
消えるのが怖い怖い、怖くてたまらない。
そんなことを考えながらあたしは帰っていた。俗に言う中二病ってやつかもしれない。ああ、きっと外側から見たらあたしは絶対痛い子だよね。そう思うと何故か笑えてきた。
まだ四時頃だというのに、この道は普段から人通りが少なく、案の定今日も通行人の一人もいなかった。
家も並んでるわけではなく、ぽつんぽつんとあるだけで、空き地が多い。あと小さな公園があるが、誰か人がいるのを見たことがない。
——ふと、今朝のニュースを思い出す。
中高生が消えてく事件。あたしは宗教か何かじゃないかと思ってたが、もしかしたら幽霊とかそういうものの仕業なんじゃないか……
いくら幽霊を信じてないとはいえ、そう一度でも考えてしまうともう駄目だった。歩みを速め、早く家に帰ろうとする。
——そのときだった。
電柱の影から、真っ黒いスーツみたいな服に身を包んでシルクハットを被った男が出てきた。
細身で、中々端整な顔立ちをしていることに気付く。視力が良いと、こういうときに得するな。
——何故だろう。その男は段々あたしに近づいてくるのだ。
知り合い? ううん、こんな人知らない。スカウトとかされる程自分が可愛くないのは知ってる。
するとその男はあたしの目の前に立ち、口角をつりあげ何かを呟いた。
不思議な感覚、体が崩れるような逆に再生されてくような感じがして——何も、見えなくなった。
* * *
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