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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 壊れた愛を囁くの。 ( No.17 )
- 日時: 2010/07/06 20:16
- 名前: はるた ◆On3a/2Di9o (ID: hNhLtowv)
目が覚めると、わきに薔薇が生えた綺麗な小道にあたしは倒れていることに気付いた。ハッとして上半身を起こすと、
「え……?」
異常に、気付いた。
空が、桃色だ。夕焼けとかそういうレベルじゃない。淡い、水で溶かしたような桃色。
太陽というより、赤い月みたいなものがぽっかりと浮いていて、綺麗というより気味が悪い。そして、遠くの方にぼんやりとお城が見える。絵本で読んだみたいな、お城。
ここはどこ? 何であたし、こんなところに居るの?
そう、考え始めた時だった。
「ああぁぁぁあぁぁ! 白兎見て!」
——女の、声がした。
声のした方に顔を向けると、水色のドレスに身を包んだ金髪のわたしと同じくらいの年の女の子と、真っ黒なスーツでシルクハットをかぶった、白髪の男が立っていた。どちらもモデルみたいに綺麗な顔立ちをしている。
「うわぁ、アリス。今の声、非常におっさんくさいよ、死んでくれば?」
白髪の男が、金髪の女の子にそう語りかける。——アリスと呼ばれた女の子は、
「うるさいわ! いつも殺しても殺しても死なないあんたに言われたく無いわよ! 何で燃えたマッチを目の中に突っ込んでも、ナイフで脳みそ掻き出しても頚動脈絞め殺してもあんたは死なないのよ! 体のつくりおかしいんじゃない?」
可愛い声で、残虐なことを言う“アリス”は口角をつりあげながら、あたしを見る。その姿はどこか人形めいてて、少し不気味。
——そして彼女はこう言った。
「あなたとーっても馬鹿そうね! すっごく美味しそうだわ! さっそく食べていい? 私おなか空いちゃって!」
そしてナイフをあたしへと向けた。
* * *
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