ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 理想郷 参照600達成記念、第二回オリキャラ募集中 ( No.89 )
- 日時: 2010/08/07 16:55
- 名前: 金平糖 ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)
突然の地震により間宮はバランスを崩し、彼の放った銃弾は灰色の空に打ち上げられる。
そのまま銃の反動も重なり、間宮は瓦礫の上からまっ逆さま振り落とされる。
ジュンイチはまたも地面に叩き付けられ、体中の痛みを必死で堪えながら地面に這い蹲り、間宮に手を伸ばす。
「間み、や……!」
ジュンイチは辛うじて意識を保っていたが、間宮は打ち所が悪く、目を瞑り力なくぐったりと倒れている。頭からは血が出おり、死んでいる可能性が少なからずあった。
「ジュンイチ!撤退だってさ、早く行こう!」
ロンウーが無線をジュンイチの耳に近づけながら叫ぶ。
『予定変更、全員撤退をしろ、もう一度言う、予定変更、全員撤退』
無線からはライエルではなくオズボーンが指令を下していた。
「何で、だ……」
ジュンイチはロンウーの肩を借り、なんとか立ち上がる。
立ち上がった途端視界がぐらりと揺れて、ジュンイチはまた地面に倒れそうになる。
汗を垂らしながらロンウーは「大佐達の乗っている戦車が建物の下敷きになったんだ、全体の指揮が取れる状況じゃなくなった!ほら……早く!」と、ジュンイチに肩を貸しながら急かす。
渋々納得したジュンイチは、歩く度に走る痛みに耐えながらのろのろと最後の力を振り絞って歩き出す。
歩きながらジュンイチは後ろを振り向き、自分でも聞こえない様な小さな声「ごめん」と呟いた。
ごめん、本当にごめん。謝る事しか出来なくてごめん。
また見捨てたりしてごめん、どうか生きていてくれ。
身勝手で本当にごめん、お前がもう俺を親友と思ってなくても、俺はお前を親友と思い続けさせてくれ。
ごめん。
ジュンイチの目からは大粒の涙がぽろぽろと沢山溢れ出ていた。
♪
「ただいま」
レンリが家のドアを開けると、丁度廊下にダンボールを持ったマサコが立っていて、マサコは廊下の真ん中に置かれたダンボールをどかしながら「おかえりなさい、今日は早かったのねー」と、笑顔で言う。
「あの学校、授業と呼べる物がなかった」
小さな声で呟きながらレンリが階段を上ろうとした時、大きなダンボールの影からイチイがひょっこりと出てくるや否や、
「レンリ、パソコン貸して!」
と、自分の胸にレンリの頭を埋めながら言われ、レンリは苦しそうにもがきながら、手に持っている鞄ごとイチイに渡す。
「学校にまでパソコン持ってくなんて、流石はオタクね!」
やっと苦しさから開放されたレンリは「俺はオタクじゃねぇ!」と怒鳴るも、イチイはそれを無視して何かを打ち始める。
それはすぐに終わり、イチイはレンリにノートパソコンを投げつけ、ダンボールに物を入れていく作業に戻って行った。
溜息を吐いた後、レンリはノートパソコンを大切そうに抱きかかえながら階段を上って自分の部屋へ向かった。
部屋に入って最初にレンリは「あの糞姉貴め」と呟き、パソコンを抱えたまま思いっきりベッドへダイブをする。
そして制服姿のまま布団の上で転がった後、おもむろにパソコンを開き、あるデータを開く。
『Nice to meet you.My name is ***』
開いた途端、白色の文字が浮かび上がる。
レンリはヘッドフォンを付けて、その文字に「Nice to meet you.You are Renriboku」と答えた。
始めまして。私の名前は***です。
始めまして、貴方は連理木です。
目を細め、レンリは口の端を吊り上げた。