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Re: 理想郷 参照600達成記念、第二回オリキャラ募集中 ( No.92 )
日時: 2010/08/08 16:05
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: FwQAM/tA)

それは人工知能を持つAIだった。
このAIは、本当はユートピア社の新商品となる筈だったのだが、レンリはそのデータをコピーした後、完成直前のAIと設計図を破壊し、自分の物にした。

「これからお前の知能を高くしてやる。すぐに全言語対応も出来る様にしてやるし、気が向いたらポリゴンにテクスチャ貼って外見も作ってやる」

レンリが英語でそう言うとAI……Renribokuは『Thank you.By the way.Who are you?』とお礼の言葉と質問の言葉をレンリに投げかける。

ところで、貴方は誰ですか?

その質問にレンリは少しだけ考えた後「それを知る事に何の意味がある」と言い放つ。
そして、レンリは前触れもなく突然キーボードを叩き始める。

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ……

最初の文字を打ち始める頃には次の文字が打ち終わっている、目にも留まらぬ速さでキーボードが叩かれ続ける。
パソコンの画面のカではRenribokuの苦しみが白い文字で淡々と映されている。
レンリはそんなのを御構い無しにキーボードを無心で叩き続けて行く。
そうして行く内にだんだん画面いっぱいに映されていたRenribokuの苦しみも減っていき、最後にはRenribokuは流暢な日本語で喋り始めた。

『人工知能の向上を有難うございます』

レンリはキーボードを打つ手を止め、「ちょっと荒いやり方だとは思ってたけど、成功して良かったぜ」と呟いた後、何をさせようか考える。
数十秒間程考えた後レンリは連理木に命令を下す。

「紫陽花学園をハッキングしろ……自分が出来る最短の時間で!」

画面には『了解』と文字が現れた後、すぐにハッキングが開始される。
画面上にはびっしりと白色の文字が書かれて行く。
すぐにレンリは「そのやり方じゃ駄目だ、楽な方を選ぶな!」と声を張り上げる。

『了解、やり方を変えます』

連理木はやり方を変え、レンリは落ち着くが、すぐに不満が湧き出る。

「遅い!最短の時間と言っただろーが!」

連理木は未だに全体の千万分の一のハッキングしか出来ていなかった。
しかし連理木の速さはそこらのハッカーに比べれば早い物だった。
それでもレンリは怒った。

俺だったら一分あれば三分の一は終わらせられるのに……

自分の爪を噛みながら、レンリは連理木を睨みつける。
最後の最後で邪魔をされて失敗はしたが、たった数分間で紫陽花学園のハッキングをする事が出来たレンリは、彼自身が高性能のコンピューター以上の頭脳を持つ余り、連理木が亀の様に鈍間に感じた。

「もう良い!このポンコツ!」

レンリはキーボードを勢い良く拳で叩く。

『申し訳ございません』

コイツ全然使い物にならねぇ。
ユートピア社は何が目的でAIなんて作ったんだよ……
これは再プラグラミングするしか手立てはねーな……

ちっ、とレンリは舌打ちをした後、ノートパソコンを閉じて目を瞑る。
一回からはイチイの「レンリーごーはーんーよー!」と呼ぶ声がしていたが、レンリはそれを無視し、布団の中に頭を埋める。

此の世中の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん。

レンリの頭の中にある男の声が響く。

人々の幸せ作らるるは我と貴方のみなり。
我も不幸なりき、ゆえにこさ人々の幸せ作りたき。
吾等こそが大魔縁と呼ばるべき人間なりはべるなり。

うるさいな……とレンリはその声も無視をして、無理矢理眠りについた。