ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔女たちの、 ( No.12 )
- 日時: 2011/01/10 19:08
- 名前: かたり (ID: yv2iENnn)
第3話『突然』
『不幸』は突然訪れる。
何故なのかはわからないけど、
まるでこの世の理のように
突然訪れる。
白い壁に描かれた、赤い模様。
その場に不似合いな3人の人影。
1人は痛みに耐え、苦悶の表情を浮かべ、
1人は返り血をあびていて、
1人は不気味な笑みを浮かべている。
そんな不自然な場面に、苦しそうな女性の声がかすかに響く。
「何で、あなたたち、が・・・っ」
苦しそうな呼吸まぎれに言葉を発する。
「何がっ・・・目的なのっ!」
そんな女性を、2人の少女が見下したような目で見つめる。
「あの子は、何もっ・・・何も、知らないのよ!!」
言葉と同時に少女たちを睨みつける。
少女たちは口を開かないまま、女性に歩み寄る。
—異常な笑みを浮かべながら。
痛さを堪え、女性は精一杯の音量で怒鳴りつける。
「あの子の幸せは、絶対に母親の私が守る!!!」
—『不幸』は突然訪れる。
ピピッ・・・ピピッ・・・
「ん?母さんからメールなんてめずらしいなー。」
ケータイの画面を開き、メールの内容を確認する。
受信メール表示
16:45
母さん
No title
—————————————————————
あなたのいるべき世界は、
血に濡れた、残虐で、卑劣な世界。
あなたの『幸せ』は、『不幸』。
『不幸』は、突然訪れる。
あなたの『幸せ』は、もう訪れている。
あなたはあなたのいるべき世界に、
入ろうとしている。
——————————————————————
「——っっ!!?」
血の気が引いた。
「優亜、どうしたの?顔色悪いよ?」
巴が心配して私に何かを言ったようだったが、
その声は全く耳に入らなかった。
一瞬、なにが起こったのかわからなかった。
落ち着いて、気持ちを整理する。
これ・・・母さんがしたことじゃない!!
母さんに・・・危険が迫っている。
母さんの身が危ない!
「ごめん巴!!私、すぐ帰らなきゃ!!」
足は自然に駆け足になる。
「ちょっと、優亜!?どーしたの?優亜!!」
母さん・・・母さん・・・!
無事でいて・・・
お願い!!!
——『不幸』は突然訪れる。