ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: abnomal children(異常な子供たち) ( No.13 )
- 日時: 2011/03/02 00:29
- 名前: スサノオ (ID: chZuMjzt)
第2話
一瞬の静けさの中、一番に動いたのは優だった。
すさまじい速さで怜と少女を裏路地まで連れて行った。
「はぁ…ついに怜の魔術、とんでもないことになったわね…」
半ば呆れたように言う。
「いや…俺には何が起こったのかさっぱりなんだが…」
怜の鈍さにいらいらしたのか若干こめかみを押さえながら怒鳴る。
「あんたがこの子を召喚したんでしょうが!」
怒り心頭の様子で少女を指差す。
少女の様子はというとキョトンとしていてまるで意識がないかのようだった。
「俺が召喚魔術なんて使えるわけないだろ。…どこからきたんだ?」
怜は少女に話しかけてみる。
「……」
相変わらずボーッとしている。
「……名前は?」
「…………」
へんじがない。ただのしかばねのようだ……。じゃなくて…。
「…おーい、大丈夫か?死んでる?」
顔の目の前で手を振ってみた。
数秒間振っていると彼女の体がびくうっ!とはねた。やっと正気にもどったようだ。
「……はっ!!あ、はいっ!なんでしょう!?って、ここはどこ?今は何時ですか?ていうか——」
かなり取り乱した様子で尋ねる。
「落ち着けっ!とりあえず、まずこっちの質問から答えてもらおう。……名前は?」
「ま、まず人に名前を聞くときは自分のほうから…」
「あーはいはい。えっと、俺は佐野 怜だ。んでこっちが琴凪 優。…んで、お前は?」
そしてその少女はとんでもないことを言い出した。
「私は天使、アリスです。とある重要な使命により私はここにきました」
「…は?」
何をいっているのかわからなかった。怜と優は二人してポカンと口を大きく開けて、静止する。
「今…なんて?」
「だから、天使ですっ!世界の危機を救うために来たのです」
世界の危機?そんな、ゲームじゃあるまいし…。
「信じようか信じまいかはあなた方の勝手です。私を受け止めてくれたことは感謝しています」
「いや、受け止めたというより…回避できなかったという感じだな」
「…一つだけ教えてほしいことがあります。魔力の高い魔術師がいっぱい居る所はどこですか?」
「…俺たちの行ってる学校、かな。それぐらいしかわからない」
「学校…?」
困った顔をする自称天使。どうやら学校も知らないようだ。にしても天使というのは本当なのだろうか?
「魔術や科学を習う所のことだよ。この異世にとってはな」
「学校…。…私には、時間がないのでこれで失礼いたします。ご協力ありがとうございました、…では」
初対面でのあの天然キャラとは一変し、すごく冷静なキャラになったかと思うとその場を離れていった。
「あ!おいっ!まだ聞きたいことが…」
「いいんじゃない?それより…強盗見逃しちゃったぁ!あー!悔しいっ!!」
てかFクラス如きが強盗を捕まえようと思ったこと事態が間違いだったんじゃないかなぁ……。
「悔しいっていってもあれはしょうがなかっただろ」
「しょうがないとかで済まされないわよっ!もし被害が出たらどうすんの!?」
強盗を逃したことを諦めきれない優の説教を聞きながら俺たちはその場を後にした。
「ミツ…ケタァ…!」
不気味に微笑む影が怜たちの姿をしっかりと捉えていたことも知らずに。