ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: abnomal children(異常な子供たち) ( No.14 )
日時: 2010/08/01 03:18
名前: スサノオ (ID: 4yRqeNGS)

反響する声にはあざけりと罵りがあった。
「まさか、忘れたわけではあるまい。《彼女》の両親の事を。」
たぶんその言葉は彼にとって触れられたくない、過去を示す言葉で、彼の心を突き刺すための武器なのだ。
息を呑む。
答えを待つ沈黙。
切迫した緊張感。
苦渋にゆがむ彼の顔。
「忘れたとは言わせない…」
「忘れるわけない。忘れたいと思ったこともない。それが、俺自身の決めた定めなんだ!」
彼が声を荒げる。
私は息を呑む。
傍観者でしかない私は息を呑む。
「くく…。そうか。それならば、その定めとやらに一生縛られ、苦しむんだな。」
男の冷たい顔が彼を見据える。
「っ!?」
驚愕し、怒りに震え、青ざめる…。
変化する彼の顔を男は突き放した表情で見つめる…。
彼にとってそれは心の奥底にしまっていた出来事。
しかし反論できないほどに彼とってそれは楔なのだ。
彼の目はもう男を見てはいない。
もっと遠く…ここにはいない誰かに向けられていた…。


「ん、、くっ!」
そこで、目が覚める。
ベットから起きた優は汗をびっしょりかいていた。
時計を見ると、まだ真夜中の2時。
それにしても、息苦しい夢だった。
2度寝しようと思ったがあんな夢の後で寝付けるはずもなく、ココアでも飲もうを思い、台所へいった。
なんだか、不思議な日だ。あの不思議系天然少女といい、あの夢といい…。

優があの夢の真実を知る日は、刻一刻と迫りつつあった…。