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自らを紫と名乗る女性に怜は無情にも手を上げた…。
「無駄だよ…。君の攻撃は私には届かない」
ぴくっと不穏な空気を感じ取った怜の手が跳ねる。
それも束の間。
そのまま躊躇い無く『緋王の咆哮』を放出する。

「言っただろう？無駄だと。人の話は聞いた方が徳だぞ？」
無音と共に発射される壊の波動…。
紫は逃げるでもなく何らかの回避行動を取るでも無くただただ立っていた。

そして紫を消滅させるはずだった波動は途中見えない壁に阻まれたように霧散し、消えて行った……。

「……っ！？」怜の顔に狼狽が浮かぶ。

そう。それは通常ではありえない光景…。
物質を消滅させる粒子。

「これで分ったろ？私には通じない…。まだ今はね…。絶望した？」
もう一度、怜は『緋王の咆哮』を発射する。が、またも見えない壁に阻まれる。
紫はゆっくりと怜に近づく…。
「しつこいよ。いい加減学んだらそうなんだい？この世の全てを壊す力が君にあったとしても私には通用しない。まあ、この星ごと壊されれば私も死んじゃうけどね〜。でもそんな勇気が君にあるのかい？」
そして怜の前にたどり着く…。
後退りする怜に向けて拳を振るう。

「オヤスミ……」
ドスッと鈍い音と共に怜の意識は事切れた……。