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Re: abnomal children(異常な子供たち) ( No.8 )
日時: 2011/03/02 00:27
名前: スサノオ (ID: chZuMjzt)

第1話

薄暗い闇の中。血で染まったフローリングの床。俺は何をして、なんでこんなところにいるのか。
わかることといえば、俺の腕は何者かによって押さえつけられ、目の前に周りの闇に溶け込むような真っ黒なスーツを着た男が立っていると言うこと、そしてその男の横に倒れた二つの死体があるというだけだ。
最奥の部屋からは何かの叫び声と悲鳴。

そんなことも気にならないようだった男は押さえつけられた俺、そして床にある死体をゆっくりと一瞥して愉しげに俺に告げた……。
「お前も、もう用無しだ。せいぜい過去の苦しみに囚われ続けるんだな」
それが俺には何のことだか全くわからなかった。
そして男と俺を押さえつけていた者は闇に溶けるように消えると俺は薄暗い部屋に一人きりだった。
奥の部屋からこの部屋にまで血は流れ出し、もともとあった血と混ざり合う。悲鳴は徐々に大きくなりつつある。と思っていた。しかし実際は違った。
大きくなっているのではなく徐々に近づいていた。
それを知らずにドアに近づく。
ドアの向こうのものを確かめるべくドアノブに手を掛けた時だった。
捻っていないはずのドアノブが動き、ゆっくりとドアが開いた。



そこにいたのは。


abnormal children(異形の子供)


その叫び声はどちらのものだったのか。
あるいはどちらともの物だったのか。
「う・・・あ・・・・うあぁあああああああ!!!!」
意識が遠のいて、目の前が真っ暗になった。



「うわっ!!」
・・・またあの夢か。小さく嘆息し、俺はベットから腰を上げる。あまりあの時のことは覚えてはいない。
それうえ、いつ、どこで、誰と話していたかなどあの時のことはあまり分からないのだ。
佐野 怜はもう一度深いため息を吐きながら自分の拳をギュッと握り締める。
そのままじっとしている訳にもいかないので朝食の準備をする。
いつものコーンフレーク。
怜にとって時間の無い朝には重宝する物だった。
手早く朝食を済ませ身支度をする。
そしていつもと変わらない制服を着て、カバンを持つ。

その昔人類は二つの武器を手に入れた。
一つは魔術。人々はその魔術の力で他の生き物たちを殺し、自分たちの住む場所などを確保した。
もう一つは科学。人々は場所や食べ物、利益のためによる争いだけでは飽き足らず、
自分たちがもっと楽になる欲望に赴くがままに自然を壊し、機械というものを作った。
だが、その二つの力がせめぎ合い、あまりに巨大すぎるうえに作った人間そのものを殺す、
諸刃の剣と化したのだ。
しかし人々はその巨大な力を捨てずに一つの国を立ち上げ、そこに入れ込んだのだ。
それがここ、俺のいる"異世"と呼ばれる国、いや、もはや世界である。
人々はまた争いのためにこの巨大な二つの力を使おうとし、核をも凌駕させることに期待している。
だが異世にいるものたちのほとんどはそんな実感などない。
普通に暮らして、普通に笑って、元気よく過ごす。普通の人間とは見た目は変わらなくて、
能力だけがどんな兵器にも勝る恐怖の存在なのである。
「いくか・・・」
そしてその異世にある学校へと向かった。



俺の通う学校である日ノ和学園ひのわがくえんは二つの科に分かれている。
まあ異世にある学校ならば当然なのだが。
魔術科と科学科という二つに大きく分かれている。それからまた細かく分かれているのだが、
あまりに細かすぎるため、俺の口からは説明できない。どっかのエリートさんでないと・・・。
ちなみに俺は魔術科だ。一応魔術は使えるんだが・・・。
「わっ!」
俺の首筋にわさっとのしかかって来る暖く重い物体。
「うぉっ!・・・・なんだ、優か」
「なんだって何よー。もうちょっと喜びなさいよ!」
この朝っぱらからうるさい女子は琴凪 優(ことなぎ ゆう)。一応俺の幼馴染だ。
「怜はそういう気配りとかがないんだから!もうちょっと配慮しなさい!」
ほんと朝からテンション高いなぁ…。
「あぁ、悪い悪い。・・・っ!やべっ!おいっ!急ぐぞ!」
「へ?なんで?」
とぼけたように頭の上にはてなを浮かべる優に教えてやった。
「バカッ!遅刻っ!!」
俺のその言葉に優は顔がだんだんと青ざめていき、学校へと急いだ。