ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:私の死んだ日。 ( No.1 )
日時: 2010/07/13 12:11
名前: 時雨 ◆5IxW6Su6n2 (ID: 6XpHmYt9)
参照: さあ、物語の始まりを。

その日の私は、珍しく懐が暖かかった。
そう。何時もなら昼食にコンビニにある安物のサンドイッチを3つ程買ってギリギリ2ケタ残る位の所持金が、ちょっと大きめサイズのサンドイッチ5つに加えてペットボトルのお茶も買ってまだ3ケタ以上残る位にも膨れ上がっていたのだ。ただ、それでも大分前に買った大きすぎる財布が膨れる事は無かったのだが。
何はともあれ、昼食は手に入ったので学校に戻ろうと、「ありがとうございました!」という元気な声に送られてコンビニを出て横断歩道を渡ろうとした時だった。

横断歩道の丁度真ん中に差し掛かった時、どこからか車が道路を走る音と共にパチパチと言う火花の散る音が聞こえてきたかと思えば、それは私のいる方向へと一直線に向かって来ていたのだ。道路の規定などにあまり明るくない私でも、その車がスピード違反の速度で走っているらしい事は明確だった。
そして私は、その車に丁度ぶつかる位置に立っていたのだ。こんな状況でも冷静に考えられる自分を賞賛したいと思う。
案の定、少し経って近付いてきた車に逃げる事も出来なかった私の体は空中に跳ね飛ばされた。

体が地面に打ち付けられた時、死んで逝く事を本能的に感じたのを覚えている。
その瞬間、まるでテレビの砂嵐のようなノイズと共に私の視界はフェードアウトした。どうやら人は死ぬとこうなるらしい。
……嗚呼、まだ昼休みは始まったばかりだったというのに!