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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 闇森の洋館 ( No.11 )
- 日時: 2010/07/24 17:45
- 名前: ムク (ID: 3rk1V4I1)
綾香が森の中を走っていると、何かデカイ物に躓いた。石のように硬いものではない、もっとブニョっとした物……。
恐る恐る振り向くと、鋭い目でこちらを睨むデブ猫が。
「ひぃっ!」
猫は睡眠を邪魔されて物凄く怒っているようで、低く唸って綾香の方へゆっくり寄って来る。
「猫ちゃんゴメンね! これあげるから許してー!」
綾香はリュックに付けた、たくさんの鈴の中から一番大きな鈴を取り外すと、それを猫の前に置いた。
猫は鈴を転がして遊んでいる。案外気に入ったらしい。綾香は鈴を、リュックの中に入っていた紐に通して、猫の首に掛けてやった。
「そういえば、ここは……?」
辺りを見回すと、同じような木ばかりが生えていて、望も翔も涼香も誰もいない。急に不安になってきた綾香は、猫を抱いて、その場に座り込んでしまった。
「どうしよう。このままみんなと会えなかったら」
見上げると、まるで木が襲い掛かって来てるよう。しばらくボーっと森を眺めていると、森の奥に人影が……。
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