ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 闇森の洋館 ( No.5 )
日時: 2010/07/17 16:10
名前: ムク (ID: sU8QSIc2)

見ているだけでもゾッとする闇森。ずっと見ていると、その闇に吸い込まれそうになる……。

「ちょっと望! 何やってんの、早く掃除してよ!」

綾香の声にハッと我に帰る。

「いや、怪物でもいないかなー。なんつって」

望が目を凝らして怪物を探すフリをしていると、森の奥に人影が。急いで窓に駆け寄り森の奥をよく見てみると、今度はその人影と目が合った。青いビー玉のように光る冷たい瞳と……

「うわっ!!」

「何!?」

驚きのあまり尻餅をついた望に三人が駆け寄る。

「も、森の奥に……人が!!」

森を指差す望を見て、涼香は窓から森を見るが、人影は見当たらない。

「人なんかいないよ」

「で、でも、おれそいつと目が合ったんだ!」

「なに言っちゃってんのよ。あんな場所に入る人なんているわけ無いじゃん」

「いるとしたら、そいつはかなりイカレちまってるな」

三人は笑いながらさっさと掃除を再開するが、望からすれば笑い事なんかじゃない。
確かに見た、見たんだ。間違いない!

「あ、望が見た人影って、もしかしたら噂の怪物なんじゃねぇの?」

「怪物……?」

怪物……確かにあいつの目は死んだようにも見えなくは無い。あの瞳の冷たさは、心が無いからなのか? だから人形のような瞳をしていたのか……?

「ねぇ、望。本当に見たんだよね? 怪物」

「あ、あぁ」

「じゃあさ、みんなで確かめに行かない? 怪物の正体」

理科室がシーンと静まり返る。みんな綾香の発言に呆気に取られている。

「おまえ、自分が何言ってるか分ってるのか?」

翔が聞くと、綾香は平然とした顔でうんと頷く。

「綾香。本当に行く気なの?」

今度は涼香が心配して聞く。

「うん。みんなで行けば怖くないし、興味あるでしょ? 闇森の不思議」

「そりゃ、興味はあるけど……」

涼香が言うと、綾香はニヤっと笑って机の上に立った。

「大丈夫だって! 家で泊まるってことにして出かければ良いじゃん」