ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 闇森の洋館 ( No.7 )
日時: 2010/07/18 12:51
名前: ムク (ID: cV1UKzM1)

そして翌日。綾香の家に集まった四人は、お昼のおにぎりを作って家を出た。

「何か緊張してきたー!」

「私も昨日の夜は寝れなかったよ」

「やっぱおまえもか」

緊張してる割にはどんどん進んで行く翔と涼香。その後ろに何やらぶつぶつ言っている綾香と、それを不思議そうに見ている望。

「おまえ、さっきから何ぶつぶつ言ってんの?」

綾香には望の言葉が届いていないようで、綾香はぶつぶつと下を向いて何か言っている。

「おーい……綾香?」

綾香は反応しない。ちょっとイラッときた望は綾香の頭をペシっと叩いた。

「オイッ!!」

「え? あ、おまじない唱えてたの。無事に帰れるようにって」

「そんだけ魔除けのグッズつけてりゃ大丈夫だろ」

そういうと望は綾香のリュックサックに目を向けた。
リュックには鈴やお守りがたくさん付いている。

「おーい、望と綾香ー! 付いたよー!」

翔と涼香がこっちを向いて数メートル先から大きく手を振っている。

「ハーイ!」

望むと綾香は翔たちの元へ走った。森の前には木でできた大きな柵があり、立ち入り禁止と書かれた看板が立っている。

「はいるよ」

「おう!」

四人は柵を乗り越え森の地に足を踏み入れた。1つの柵を乗り越えただけなのに、外から見るのとは大分違う。

「なんか、本当に出そう……だね」

「戻る……?」

さっきまで元気だった翔と涼香はすっかり怯えきっている。

「何言ってんの。懐中電灯も持ってきたし、方位磁石も持ってきたんだし、ここまで来て帰る訳には行かないでしょう」

「じゃあ、行くか」

綾香と望を先頭に、四人は歩き出した。
大きな不安と、ちょっとの期待を抱えて——。