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Re: 闇森の洋館 ( No.8 )
日時: 2010/07/19 07:56
名前: ムク (ID: mCvgc20i)

第二章 謎の人影を追え!



 歩き出してからどれくらい経ったのだろう。
前も後ろも同じような木ばかりで歩いているという実感が湧かない。

「何か、頭がおかしくなりそう」

だるそうに頭を抱えていう綾香。まだ元気そうな望は、

「今何時だ? おれ腹減った」

と翔に聞いた。

「そうだな、丁度十二時だしお昼にするか」

綾香と望がうんと頷くと、涼香が辺りを見回して言った。

「こんな所で食べるの!?」

「しかたねぇだろ」

望がため息混じりに言うと、涼香も渋々と腰を下ろした。

「どーする? このまま帰れなくなっちゃったら」

「大丈夫だよ!……きっと」

涼香と翔のまさに不安いっぱいの会話をみて、望はプッと吹きだした。

「二人とも心配性だな、大丈夫だって! 綾香のリュック見てみろ。あんだけ色々付いてりゃ平気だろ」

そういって三人が綾香の方を見ると、綾香は何処か一点をまじまじと見つめていた。
そっと綾香が見ている方に目線をやると、木の陰から
一人の少年が綾香をじっと見つめていた。
少年は望たちの視線に気付くと、走って何処かへ消えてしまった。

「追わなきゃ!」

「おい、ちょ、待て! 綾香ー!」

翔の声を無視して綾香は少年が消えた方に走っていってしまった。

「しかたねぇな。みんな、綾香を追うぞ」

そういうと望は綾香を追って走っていってしまった。

「え、ちょっと待って」

「涼香、あんまりぐずぐすしてると置いてくぞ!」

そういうと翔は望の後を追い、少し遅れて涼香が走った。