ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †神様の失敗† ( No.13 )
- 日時: 2010/07/20 15:52
- 名前: 白兎 (ID: WkxsA0sZ)
第五話
:足のない天使:
「悪魔……?」
俺はアードィール。ニックネームはアディル。
ついさっき、ルティアという真っ白な子に出会って……
え? もう知ってる?
じゃあその説明は止めて。
そんで。
そんで。
ボクにはもう、何がなんだかサッパリなんです。
「私、悪魔なんですっ!!」
あの子はそう言ったけど、ボクには信じられませんでした。
ボクは、ずっとあの子を天使だと思っていたんです。
なのに悪魔って……。
第一、悪魔ってもっとこう……黒々としているもんじゃないんでしょうか。
実際に見た事はありませんがね?
……なんで敬語になっていたのかは知らないけど
とにかく、俺にはあれは悪魔には見えなかった。
そんな事を考えていると
後ろから女の声がした。
「何やってんのぉ??」
振り返った。
「あ、メル……」
其処には、同じく天使のメリクエル、通称メルがいた。
そういえば、ルティアはこいつを探していた様だった。
「考え事だよ。……メルは?」
「私は、ちょっと ね」
何だろ、その間。
……何かあんのか?
まぁこいつの事は如何でもいいんだけど。
「はぁぁぁぁ……」
「なっがい溜息」 「るせー」
俺だって溜息つきたくなる時だってあるんだよ。
でもその原因は?
……あの悪魔か?
「大変だねぇ」
クスクスと笑うメル。
何が可笑しいのさ。
俺は悩んでんのに。
メルは近くのベンチに腰を下ろした。
座る時、スカッという音がした。
そう、この天使は足が無い。
いつも浮いているけれど、いつも翼を広げている訳じゃない。
まるで透明の足が存在しているみたいだった。
触れはしないけど。
本人は特に気にしていない様で
「まぁ良いんじゃない?」なんて言ってた。
よく言えば楽観的。悪く言えば能天気ってとこか。
こいつの(メル曰く)友達(はたから見ればペット)のミリアにも足は無い。
それも気にしない理由の一つなのかもしれない。
メルは確かに
普通の天使とは違っていたけれど
でも 優しくて 温かかった。
中身は立派な天使だった。
それが、メルをしばらく見ていて思ったこと。
だからこそ、余計に思う。
如何してメルには足がないのかな——?