ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †神様の失敗† ( No.14 )
- 日時: 2010/07/23 10:58
- 名前: 白兎 (ID: dlZE4w6M)
第六話
:真っ白な悪魔:
私は……悪魔。
名はネビロス。悪魔階級は割と高い。
現在の魔界は薄暗くて
歩くには月の光だけが頼りだった。
だが夜道を歩くのに青い光を放つ青月はすこし不気味。
悪魔が月を不気味と思うのもどうかと思うが。
風が舞い、マントがひらりと揺れた。
最近、全身を纏っているこのマントが邪魔になってきた。
天使や悪魔に痛覚はなく、寒さや暑さも感じないのだが
何故か暑苦しい。
でも、脱いではいけない様な気がした。
悪魔となった時からこのマントを着ていた。
だから、悪魔の特徴である変わった足や尾は見られない。
私には角もなく、長めの白髪で肌の色も白っぽい。
悪魔というより人間のようだ。
他の悪魔には珍しいと言われている。
でも、私よりも珍しいと言われる存在がいる。
真っ白な悪魔—— ルティア
俺の職柄(監視官)、新たな悪魔が誕生したら
一応その悪魔を確認しなければならないのだが
そいつは、悪魔じゃなかった。
いや、悪魔なんだけど。
あんな悪魔は始めてみた。
天使と見紛うほどに白く、美しい姿。
かなり驚いた。
あの時、私は初めて怒鳴る、という行為をした気がする。
噂をすれば———
「あっ……ネビロス」
前から、灰色の翼を広げたルティアがやって来た。
翼だけは白くないが、それでも灰色。
しかも、悪魔は普通コウモリもような羽なのに、
こいつはふわっとしていて……やっぱり天使っぽい。
「ルティアが飛んでるなんて珍しいな。
何処か遠くに行ってたのか?」
「………………」
「図星か」
さっきのルティアに効果音をつけるならば
きっと「ギクッ」だろう。
判り易い奴だな。全く。
でも、何処に?
人間達にこいつを呼ぶ呪文はまだ知られていないはずだが。
「お前、何処に行ってたんだ?」
奴はしばらく黙って
小さくこう言った。
その言葉に私はとても驚いた。
「天界……」
天界への入り口は、悪魔には見つけられないはず。
「行ったのか? 行こうとしたではなく?」
でも奴はこくりと頷いた。
本当に不思議な奴だ。