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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †神様の失敗† ( No.20 )
- 日時: 2010/07/25 19:59
- 名前: 白兎 (ID: dlZE4w6M)
第七話
:失いつつ生まれた希望:
メルは今、ミリアと共にある天使の元を訪ねていた。
(メル視点)
目の前にいるのはラツィエルという名の天使。
天界の秘密を知っているとされる者——
「で? 私に尋ねたい事とは?」
ラツィエルは男性の様だった。
外見や声からみて。
ラツィエルは私の足を一瞥した。
「メリクエル……と言ったね」
「はい」
「訊きたいのは、その足の事でかい?」
そう。
私は知りたかったのだ。
何故私には足がないのかを。
私は頷いた。
しばらく彼は黙っていたが、また口を開いた。
「もう、君に天使の足が生える事はないだろうね」
すこし、ショックだった。
いつか生えるかもしれないと期待していたから。
「……なぜ、私には足が無いのですか?」
ラツィエルに訊ねた。
しかしラツィエルはそれには答えてくれなかった。
やはり、自分はおかしいのだろうか。
昔から、異質な存在と言われ続けていた。
それに耐えられていたのは希望があったから。
でも、その僅かな希望も今の私には無いのだ。
そう思うと悲しくなってきた。
—— 一体私は何だ?
天使という存在に生まれながら
自分は他の天使とは違う。
—— 私の存在はなに?
「でも、それなら如何にかなるかもしれんぞ」
ラツィエルはミリアを指した。
「これ……見たところ山羊に似ている。
もし山羊なら……山羊に詳しい奴を知っている。紹介してやろう」
「それ」やら「これ」やら言われているけど。
でも、ミリアは生えるかもしれない……?
「あ、でもそいつ悪魔だよ」
えっ?
駄目じゃね?
「だから、魔界行かなきゃなんだよね〜」
おいっっ
「頑張って行ってきてね★」
「……ラツィエルさんは?」
「え? 行かないけど」
ラツィエルは淡々と言った。
私はその直後 ラツィエルを殴った。
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