ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †神様の失敗† ( No.25 )
- 日時: 2010/07/27 16:34
- 名前: 白兎 (ID: dlZE4w6M)
第九話
:友の為、いざ地獄へⅡ:
ラツィエルの魔法で
またあの気色悪い姿になった。
ふと隣のアディルを見ると
アディルも真っ黒の、醜い姿になっていた。
でも、アディルである事は判る。
目や鼻は変わっていないし、身長も同じだから。
アディルが悪魔だったらこんな感じなのかな。
私がアディルを見ていると、アディルもこちらに気付いた。
アディルの目は青ざめていて、足は震えていた。
私、そんなに酷い姿なのかな……。
私の横に鏡があった。
恐いけど、見てみたいという気持ちの方が大きい。
恐る恐る鏡を覗き込んだ。
確かに物凄くきもい。
こりゃアディルも青ざめるわな。
でも、やっぱり何処となく私らしさが残る。
「じゃ、いってらっさい〜〜」
何が彼をそういさせているのか知らないが
ラツィエルは陽気だ。うざいほどに。
私は思わず拳を握り締めたが、その腕はミリアに抑えられた。
天界を出た。
そこは多分人間界というヤツで
空は澄み渡っていた。
そこは天界と変わらない。
しばらく空を飛んでいたが、
なかなか魔界はみつからない。
アディルに話し掛けた。
「ねぇ、魔界って後どの位で着くの〜?」
「さぁ? そんなに遠くは無いはずだけど」
アディルの言葉どおり、魔界は案外近かった。
その入り口と思われる場所は何か陰気なオーラがたたずんでいて
まさに魔界って感じ。
「……ア、アディル先 行きなよ」
「嫌だっ。俺にそんな勇気は無いっ」
仮にも男の癖に。
こっちが哀しくなってくるぞ。
仕方なく、飛び込むように魔界へ入った。
其処は 真っ暗な世界だった。
今にも消え入りそうな朧月だけが真っ暗な世界を照らしていた。
「此処が魔界……」
思わず呟いた。
後ろにミリアとアディルが居ることを確認してから
ラツィエルの知り合いの悪魔の場所までの地図を見る。
「此処からは割と近いみたいだね。行こう、ミリア」
私達は歩き出した。
周りを警戒しながら歩いていたから、
途中でアディルが居なくなったことには気付かなかった。
途中、沢山の悪魔たちに出あった。
私達が天使だと言う事はバレていない様。
その中に、天使を見つけた。
真っ白で、翼は灰色な天使を。
他の悪魔は、其れを気にもしていなかった。
どういう事なんだろ。
その天使の横には悪魔とも天使ともとれる男の人がいた。
その悪魔は、私達を見ると驚いた顔をしていた。
バレたのかと慌てたが、その悪魔は何も言わず去って行った。
そして、ようやく辿り着いた。
其処には、ミリアに似た動物たちがたくさんいた。
その中に、悪魔がいた。
きっと、その悪魔がラツィエルの知り合いだろう。
「あの……」
声を掛け、今までの話をした。
「へぇ、キミたちは天使だったんだ」
悪魔と言っても、口調は天使とそんなに変わらない。
「あの、それで……この子の足なんですが、如何にかなりませんか?」
その悪魔は、ミリアを見た。
「無理だね」
悪魔は言った。