ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †神様の失敗† ( No.29 )
- 日時: 2010/07/29 14:52
- 名前: 白兎 (ID: dlZE4w6M)
第十話
:哀れな山羊達:
「どうしてですかっ!?」
私はその悪魔に詰め寄った。
その悪魔は面倒くさそうな目をこちらに向けた。
「まぁまぁ。ちょっと落ち着いてよ。
まだお互いの紹介もしていないのに、いきなり本題に入るのは如何かと思うが」
「は、はぁ……」
確かにその通りだと、すこし前の自分を恥じた。
「私の名前はメルです。この子の名前はミリアです」
まるで英語の教科書に載ってそうな一文だ。
自分でも不思議だけど、ラツィエルの時とは随分態度が違ってる。
「私はアザゼル。山羊の番人をしている」
悪魔らしく、低く重い口調だ。
これでこそ悪魔って感じ。
その声でアザゼルは呟いた。
「……しっかし、ラツィエルも面倒な事を……」
やっぱり面倒くさいみたいだね。
うん、聞こえなかった事にしよっと。
「で、何でミリアの足は治らないんですか?」
「……何でかって?」
アザゼルはニヤリと笑った。
自分の背中に冷や汗が流れたのが判った。
「悪魔って変な足してなかったかい?」
そういえば、天使みたいな悪魔たちを除いたほとんどの悪魔は
毛深くて変な足だったな……。
「あれね、山羊の足なんだよ」
山羊の足……?
「でも、みんなそんなに短足じゃ無かったけど?」
「……馬鹿か」
きつい一言を頂きました★
でも、だってそうじゃん?
「魔法だってアリな世界なんだぞ。
そんなの関係無いんだよ」
「はぁ」
屁理屈じゃない? とも思ったけど
また「馬鹿」と言われそうなので止めた。
アザゼルは近くに置いてあったイスに座った。
私も立ちっぱなしで疲れてきたんだけど……。
「話がずれたな……。
で、その足は、元は山羊の足だったんだ。
つまり……山羊から取ったやつ」
「じゃ、その山羊が……」
「そう。ミリアはその山羊達の中の一匹って訳だよ」
メルは辺りを見回した。
さっきは気付かなかったけど、此処に居る山羊たちはみんな
足が無い山羊だった。
「酷い……」
メルは嗄れた声を漏らす。
フッと笑う声がした。
「悪魔に酷いも何も無いよ」
アザゼルは冷たく言い放った。