ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †神様の失敗† ( No.35 )
- 日時: 2010/08/01 16:24
- 名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)
第12話
:迷信は真実で:
「……何処だよ。此処……」
月の奇麗な今日の魔界で
少年は一人、呟いた。
「気付いたらメルもミリアも居やしねぇ」
この状態じゃ、少年はこの奇麗な月を眺める事はないだろう。
「ってか俺、地図貰ってないし……」
途切れ途切れな声を出し、少年は気付く。
「え、俺……迷った……?」
少年は異世界で……迷った と。
(アディル視点)
あははははは…………。
笑うしかないよ。うん。
っていうか。
どうしようどうしようマジどうしよう…………。
周りは悪魔ばっかで超怖いし。
溜息が零れた。
悪魔か……。
−ルティア−
今頃、何してんのかなー……。
そういえばアイツ、悪魔なんだよな。
ってことは——
この世界の何処かに、ルティアはいる——?
闇雲に動き回ったって
この広い世界では会える可能性は少ない。
でも、ゼロじゃないから——
ただ其れだけの
僅かな希望を胸に
俺はまた歩き出した。
よく判らないけど。
いや、何も判っちゃいないけど。
きっと会える————
そんな気がした。
そして
キミを
見つけた——
灰翼の天使
相変わらず、悪魔っぽくないよなーなんて考えながら。
「ルティアっ」
声を出した。
ルティアは振り向く。
でも、俺は隠れてしまった。
何でかって?
ルティアの隣には、他の誰かがいたから。多分。
隣の誰かを見た時
体の何処かにズキンッとした痛みが走った。
何処だったかは酷く曖昧で、はっきりしないけど。
これは恋なのか?
多分きっとそう。
恋ってこんなになる物だったっけ。
乙女みたいだなー……。
でも、恋以外に考えられなかった。
これが初恋なのか?
でも、初恋は叶わないって噂があるよな。
願わくば、それがただの迷信でありますよう……
でもどうせ。
もしルティアの隣に誰もいなかったとして。
悪魔と天使。
結ばれる事はないんだろう。
俺は、月のよくみえる場所でうずくまっていた。
月は奇麗だった。
その月はあまりにも奇麗過ぎて
俺を嘲笑っているようにも見えたんだった。
少年はまた大きく溜息をついた。
しばらくして彼の友人達はやって来た。
そしてまた天界へと還る——。
少年も
少年の友達の少女も
酷く沈んだ表情を浮かべていた——。