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Re: 神様の失敗 −本編終了− ( No.79 )
日時: 2010/08/27 15:36
名前: 白兎 (ID: QCkuis7p)



    第21話

  :それから:



今宵も魔界は暗く、陸と空が繋がっている様に見える。

そんな魔界を僅かであるが明るくさせている月は、
一人の青年を照らしていた。


 「ハローハロー。今日も男前だねぇ」

 「……やめろ。うざい」

 「まぁ。褒めてやったってのに」

この口の悪い(私からすれば)ガキんちょは、ネビロス。

ふと、いつもこいつが見に着けていたマントが無いことに気付いた。


 「あれ? あんた、あのマントは?」

そう言うと、ネビロスは腰の辺りを指差す。
其処には、いつものマントが巻かれていた。

 「ああ。腰に巻いたのね。でも何でまた?」


 「何か……暑苦しくて」


 「ふぅーん……」


こいつ、暑いなんて感覚があるのかしら?
悪魔にはそんな感覚無いはずだけれど。


 「やっぱり、あんたって変わり者よね」

 「お前に言われたか無いけどな」

 「私の何処が変わってるって言うのよ」


そうだ。紹介が遅れたわね。
私はリリス。夜の魔女。
私の体は土で作られてるらしいわ。
まぁそんな事如何でもいいけれど。


 「だってお前、ずっとアダムと居れば良かったじゃないか。
  そうすりゃ、馬鹿なイブよりも有名になれただろ」


アダムとイブ。
最初の人間達。
最初に生まれたのはアダムだった。

私が創られたのは、アダムの妻になるためだった。

でも、私はアダムなんかに興味はなかったの。

だから、魔女になったって訳ね。

そんで、代わりにイブが創られたと。

でもイブは、ルシファーに騙されて林檎を食べてしまった。
だからネビロスはイブを馬鹿呼ばわりしたんだと思う。


 「私は、アダムなんぞに興味はないのよ。
  もっといい男に抱かれたいもの♪」

 「ふん。アダムとだってヤったくせに」

 「あら、ヤキモチぃ?」

こんな私も、一応母なのよね。
私とアダムの娘の名前はリリムって言うんだけれど。
まぁその子も私に似て、男達を……うん。まぁ如何でも良いわね。んな事はっ。

 
 「それに、アダムって上ばっかだしぃ。私だって上がい…」
 「もう 黙っとけ。そろそろ苦情くるだろうが」
 「煩いわねぇ」


確かにすこし話がそれたわね。


 「そうだ。マントを腰に巻いたって事は、一回マントを外したんでしょ?」

 「……まぁ」

 「如何だった? まさか、あんたまで天使だったとか言わないわよねぇ。
  あんな騒ぎは、ルティアちゃんだけで十分だわ。
  あの後、大変だったみたいよ? 威厳損失だーとか何とか。で、何とかアードィールとか言う天使の力で威厳回復したとか」



 「うん。俺も、あんな騒ぎは十分だよ」

 「ふぅん。じゃあ、悪魔だったのね」



 「……だから、この事はずっと黙っておく事にした」



ネビロスは無表情でそう言った。

その言葉が何を意味していたのかは……


           全て、あなた達にお任せするわ。




                           ‐END‐