ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━Justice of evil━1話UP♪ ( No.12 )
- 日時: 2010/07/23 18:20
- 名前: 遊太 (ID: KF4wky37)
CHAPTER2【β級フロアの噂】
昨日の囚人番号6番の脱獄騒動から早1日、β級フロアには特に何も起こっていない。
囚人たちは自由時間の間、刑務所の清掃や労働活動をするのが決まりだ。
「・・・・掃除なんて、やる必要ないだろ・・・・」
風真は雑巾を手に持ち、廊下の隅々を懸命に拭いていた。
こんなことをやるのは、自由時間までの暇つぶし。
もし、ふざけたりすれば看守に怒鳴られる。
それどころか、自由時間まで減らされたらたまったものじゃない。
「よお、風真。」
「ん?なんだ、拓郎かよ・・・」
風真の隣に現れたのは、同じベータ級フロアの囚人である安藤拓郎。
囚人番号は8番で、風真の唯一気を許せる親友だ。
「なんだよ?いいことでもあったのか?」
「いやいや・・・・。ちょっと噂があってな。知ってるか?」
「噂?」
風真は廊下を拭きながら、拓郎の言葉を復唱する。
しかし、噂なんてあまり興味を持てない。
「このフロアに、絶対に足を踏み入れたら行けない部屋があるんだよ。」
「なにそれ?」
風真はその噂に、思わず吹き出し笑いをしてしまった。
すると、拓郎が顔を近づけて再び話を始める。
「ここからだよ。しかも、その部屋は外へ通じてんだ!!」
「なんで言い切れるんだ?」
「風の音だよ。」
拓郎のその言葉に、風真は眉をピクリと動かす。
ここは地下の階層だ。風の音がするなら、外はすぐ傍にあることなる。
風真は、その噂に興味を持った。
「・・・・その部屋はどこだ?」
「おっ♪食いついたな。自由時間に行こうぜ。」
拓郎はそう言うと、風真の肩を叩きながらその場を離れて行った。
しかし、風真の頭に何かが引っ掛かる。
‘絶対に足を踏み入れてはいけない部屋’という噂だ。
部屋には簡単に近づけそうだが、その言葉が気になる。
風真は立ち上がると、雑巾をバケツの中に入れて自分の牢屋に戻って行った。
そして、自由時間まで昼寝を始めたのだった。