ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 漆魔転生物語 ( No.3 )
日時: 2010/07/21 23:16
名前: 叶嵐 ◆Gv599Z9CwU (ID: fMPELWLk)

それでは、やっとこさの本編を。



act.1[桜舞い散る季節に出会え]


通学路の途中で足を止めて空を眺めていたら、ふいに花びらが視界に入った。

漫画なんかじゃ、手のひらに花びらが・・・なんてあるんだろうが、残念。
現実はそんなにうまくできていない。

少し上を見上げると、それはもう立派なさくらの木があった。

分かっていても、手を伸ばして花びらをつかんでみたいものだ。

「ま、無理か・・・」

そう一人つぶやく。

ふと、腕に巻いてある腕時計が目に入る。
電車が出るまで残り30分。

「うげぇ・・・・」

さすがに間に合わないだろうか。
間に合うといいなぁ・・・。
なんて考えながら、走り出す。

角を曲がったところで突然風が吹く。

「おわっ!・・・・?」

風に乗って何か聞こえた気がしたが、分からなかった。

「まぁ、いいか・・・」

改めて走り出す。






・・・
ギリギリセーフで車内に飛び込み、一息つく。

周りを見れば、携帯片手にイヤホンで曲を聴いている学生や、せまい範囲で難儀そうに新聞を読んでいるサラリーマンのおじさん。貴重な時間をうたたねに遣うやつや、参考書をにらんでいる奴もいる。

「みんな、ありきたりだよな・・・」

そうつぶやくと、隣にいた親父にすごい形相でにらまれた。

駅に着き、電車を降りると同じ制服の奴が何人かいた。
気がつかなかったが、こんなにいたのかと妙に感心してしまう。

車がいきかう道路を渡り、そこから徒歩10分ほどに俺が通う学校がある。

「何回見てもデカイよなぁ・・・」
「本当にね」
「うわぁっ!!」

突如後ろから声をかけられ、驚いてしまった。

紺色・・・かな?そんな色の髪にきれいな水色の目をしている少年が後ろに立っていた。
人のことを言えないが、不思議な色の髪と目をしている。

「・・・・え・・・と・・・」

話題に困っていると、校門付近で新入生を迎えている先生に声をかけられた。

「早く自分の教室を確認しろよー!」

これは天の助けだと、ほっと息をつく。

「あ、と・・・・」
「ああ、僕?僕は『青井 唯』君も新入生でしょ?よろしくね」
「ああ。えっと俺は、『紅葉 鏖也』ってんだ」

彼、青井 唯はにこっと笑うと歩き出す。






・・・
「あ、あった」

俺はⅠ−Bだった。
青井は何組だったのだろう。
きょろきょろと周りを見渡すが、姿はない。

「??どこ行ったんだ・・・」

どこに行ったのか考えてみようかと思ったが、なにぶんさっき会ったばかりでまったくわからない。
まわりに知っている奴なんて一人もいない。

「友達、できるかな・・・」

ん?なんだか不安になってきた。
考えすぎると、ダメになりそうなので頭を切り替え、教室へと急ぐ。

「あ、ここだ」

教室を確かめ、おそるおそる中をのぞく。

「ちょっと!」
「うぇ?!」
「邪魔なんだけど??」

声をかけられ、振り向けば金髪の外国人のような美少女が立っていた。

「邪魔」

いらだたしげにかけられた言葉で我に返る。

「あっと、ご、ごめん」

急いでどくと、さっさと中へはいって行ってしまった。


こんなのでやっていけるのか・・・俺。
一抹の不安が渦巻いていた。



     act.2に続く。  

Re: 漆魔転生物語 ( No.4 )
日時: 2010/07/22 00:26
名前: 叶嵐 ◆Gv599Z9CwU (ID: fMPELWLk)


act.2[新たな始まりに揺れまどえ]


初めて入る教室はあんがい広く、机は一定間隔できちんと並んでいる。
自分の席を見つけ、座ってみる。
窓からは校庭が見えた。

「今日から、高校生・・・ね・・・」

いまいち実感がわかない高校生活が、いったいどうなっていくのか。
期待半分、不安半分といったところだろう。

「では、番号順に並んで体育館に行きたいと思います」

担任らしき先生の言葉で廊下に並ぶ。

「なあ、お前の髪って染めたの?」

後ろに並んだ男子生徒が話しかけてきた。

「え、ああ。違うちがう。生まれつきの地毛だよ」

軽く手を振って否定するとふーんという感想を残し、他の生徒との話に入って行った。


黒に近いが頭の上にかけてだんだんと赤くなっている髪の毛。
何度見ても普通の奴とは違う瞳の色。
別に焼いたわけではないのにあさ黒い肌。
なぜかいまだに成長が止まらない身長。

悩みは尽きない。
人知れず溜息をついた時、先生の号令が飛ぶ。






・・・
『えー、ではこれより第56回入学式を始めます』

淡々と進む入学式。
ありきたりな校長のあいさつ。
きれいごとしか述べない保護者代表。
無理して難しい言葉を並べたてる生徒会長。

「つまんねー」

誰かがそうつぶやいたのが聞こえた。

この意見には同感だ。
俺にはいまだにこんな長ったらしい恒例行事の意味がわからなかった。

『それではこれで、第56回入学式を終わりたいと思います。保護者の方は————』

その言葉を合図に一斉に騒がしくなる館内。

『静かに。静かにしてください!・・・ここで、生徒のお呼び出しをいたします』

機械的な口調の生徒会長の声がスピーカーから聞こえている。

「おいおい、こんな時にかよー」
「なんで呼ばれるんだろ??」
「さあ、なんかやっちゃったんじゃない?」
「誰がよばれんだろーな」

こんな生徒たちの言葉を聞きながら、まさか自分は呼ばれることはないだろうと思っていた。
   
   思っていたのに。

『今から呼ぶ生徒は、放課後第1理科室に集合してください。えー、まず・・・
  Ⅰ−A 緑山 慧さん
  Ⅰ−B 黄原 琴音さん
同じくⅠ−B 紅葉 鏖也さん
  Ⅰ−D 青井 唯さん
放課後、必ず集合してください』


だんだんと人が減っていく館内で俺は茫然としていた。
だって、生まれてこのかた公で名前を呼ばれるといという局面にあったことがないからだ。

茫然としすぎて、後ろから近づく人影にきずけなかった。

「いつまで抜けテンのこの馬鹿!」

ごきぃッ!

「いってええええええ??!!!」

いきなりの後ろからの打撃に目の前が一瞬暗くなり、うずくまる。

痛みのひどい個所を抑え、振り返るとそこには教室の前であった金髪の彼女が立っていた。

「な、なんで・・・」
「なんでじゃないわよ。残ってるのアンタだけよ?」

見渡してみるとなるほど。残っているのは軽く乱れたパイプ椅子にあと片づけをしている先生方。
あと俺達だけだった。

「ごめん」

あきれ顔の彼女は盛大な溜息をひとつつくと、手を差し伸べてきた。

「さっさと立って!」
「あ・・・はい・・・」

彼女の迫力につい従ってしまう自分が情けなかった。

Re: 漆魔転生物語 ( No.5 )
日時: 2010/07/23 22:51
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

毎日のように部活がある今日この頃。
文系部なのになぜ?!

act.3[願い叶いし時始まりの針は進む]


全部がありきたりな毎日に飽きていた俺。

今まで目立ったことなど一つと言ってなかった俺は、高1の春。
いまだかつてないほどの混乱に見舞われることになった・・・。



「・・・・」

授業もろくに始まっていないというのに理科室の扉の前に立っている。

両腕に抱えられた教科書がものすごく重く感じるのは、厚みのせいだけではないだろう。

「失礼しまー・・・・へ??」

きしむドアを開けた先にあったのは、薄暗い部屋に一筋の光だった。

「すぅー・・・・・」

規則正しい息とともに光の先が、こちらに向く。




廊下に響き渡る、チャイム。




俺は、ただ、光にだけ、目も意識もすべてを奪われていた。


「朱き魔の僕よ。なぜ、そなたはここにいる」

「あかき・・・まの、しもべ・・・・・?」


  パッ!

「?!!」

突然ついた光に、目が一時的に見えなくなる。

「な、なん・・・」

目が慣れてくると、そこには3人の少年少女が立っていた。

「あ・・・「ハロハロハロウ☆君が紅葉 鏖也君??」
「う、えあ・・・は、はい」

いきなりの出来事にいまいち付いていけない。

腕の中から教科書がずり落ちた。












・・・
「落ち着いた?」

目の前にお茶がおかれる。

「あ、有難うございます・・・」

いったいこのお茶はどこで入れたのだろう。進められる通りにパイプ椅子に座っている俺は考える。

「はい。お茶」
「お、サンキュー!!」

何だろう。俺がこの部屋に入ったときと全然印象が違う。

「失礼します」

きしむドアは派手な音を立てながら開いた。

「あ、紅葉君」
「ああ!!」

入ってきたのは、深藍色の髪は校則違反ギリギリの長さで、きれいな湖みたいな水色の目をしている『青井 唯』。

「なに、知り合い?」
「はい。・・・初めまして、ですね」

最初に会ったときに見せた笑顔を向ける。

「!」

何かに気付いたのか、ドアの前から離れる。

ばっきゃああ!!!!

「うひゃあぁぁ!!!!」

我ながら、すごい声が出た気がする。

「失礼しっまーす」

無残にも古びた木片となったドアの残骸を乗り越え現れたのは、金髪で外国人のような顔立ち、抜群のスタイル。そして、豪快な性格の『黄原 琴音』だった。

「あら、あたし、3番目ってところかしら?」

髪を耳にかけると、パイプ椅子を取り出し、座る。

「これで、6人。あと、何人だっけか??」
「1人よ。お茶、おかわりいる?」

たしか、あと1人は・・・。

「『緑山 慧』・・・。遅いわね」

彼女がいらだたしげにつぶやく。

「あはは、そこらへん迷ってんじゃないですか?」

「こんにちわー」

ひょこりと顔をのぞかせたのは、薄い緑の髪を下の方で結んでいて、何より、本当に高校生なのかという疑問さえ抱かせるような容姿だった。

「君は?」
「俺?俺は『緑山 慧』だよ」

狭い理科室に高校生6人はさすがにきつくなったというので、俺達はなぜか保健室に移ることになった。



なんだろう、この学校に来てから、いや。青井にあったころから、俺は何か始まる予感がし始めていた————

Re: 漆魔転生物語 ( No.6 )
日時: 2010/07/27 19:57
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

コメントがほs((ry


act.4[人はみかけによらないものだ]



「しっつれいしまーす」

返事も待たずに保健室のドアを躊躇なく開ける。

「あ、チョイ待ち」

奥の方から声が聞こえる。
のぞいてみると、小さい部屋があった。

その直後、ガラスなどの金属物が割れる音が響く。

「あーあ、派手にやったねー」

声に反応して、出てきたのは茶髪に白衣とは呼べないほどボロボロの服を着て、煙草をくわえている男の先生・・・だと思われる人だった。

「あはは。あ、そこ気をつけて。破片落ちてる」

破片が落ちてるって・・・。
なんてお気楽な性格をしているんだ・・・。
これでもいっぱしの教師か。

「あの先生、なんか、溶けてますよ??」
「え?」

黄原 琴音が上げた声に反応し、白衣をみると、すでに腰ぐらいまでしかない白衣が嫌な音を立てながら穴を開けるように溶けている。

「あちゃー、こりゃぁ・・・」
「もうそろそろ新しいの買えば??」
「金ナイ」
「・・・」











・・・
その後、奥の部屋はほおっておくという何とも信じがたい行為に出たこの男。

「あー、入学式?外でたばこ吸ってた」

常識がない。

「ヘビースモーカーはモテないよ、先生」
「はは、ほっとけ」
「ああ、とりあえず1年はそこらへん座って」

適当に進められるがままに椅子に座る。

「ンじゃま、ぼちぼち始めますか。えーと、まずなぜ4人に集まってもらったかというと、実は我がクラブに入会してもらうたです!!」
「入会???」

いまいち分からない。なぜクラブの入会に呼び出し???

「そ、入会。まあ、クラブって言ってもただ放課後集まるぐらいだし、別に絶対毎日来てってわけじゃないけどね」
「実際何をするんですか?」
「あー、簡単にいえば妖怪退治」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ??」
「うんうん、わかるわかる。俺も最初そうだった」

何やら一人で納得しているようだが、こちらからしてみれば全く。何が何やら状態だ。

「妖怪って・・・あの古い屋敷とかに住みついてたりする・・・・?」
「そうそう、あと本とかで話題にされることとかも多いよねー」

何だろう、この人たちと話していると本当に気が抜けるというか・・・なんというか・・・・。

「そんな、妖怪なんているわけないじゃない」

黄原 琴音が声を上げる。

「いえいえ、そんなのわからないですよ?実は、あなたの足元にも今、いたりして・・・」
「・・・・」
「とまあ、冗談はさておき。・・・どこまで話したっけ・・・」
「クラブ活動の大雑把な説明まで」
「あーそうそう。じゃあ、クラブ活動は後々分かるから、自己紹介行こうか」

にこりと笑い、先生は立ち上がる。

「自分は『河合 遥』。見ての通り保健室の先生だ。煙草が好きだ。ああ。間違われることが多いので言っておくが、自分は女だからな」
「ええ?!」
「ド、どー見ても男・・・」
「て言うか、保健室の先生がタバコ好きって問題ないの??」

驚いた。まさか女の先生だたとは・・・。人はみかけによらないとはよく言ったものだ。

「じゃ、次。紫遠」
「うぇ?ああ。はい」

次にゆっくりと立ち上がったのはショートカットの髪に眠そうな目。雰囲気からしてマイペースそうだ。

「えーと。『紫遠 早苗』です。2年生です。低血圧なので寝起きとか悪いらしいです。実際に自分では分からないのですが・・・。空を眺めてるのが一番好きですねぇ」

あははーと笑うところをみると、こっちまで和やかになってきそうだ。

次に立ったのは、真黒な髪に隠れて見えにくいのだが、なんだか灰色っぽい色の目をしている。

「僕は『黒崎 恋華』だ。3年生で、クラブの会長をやってる。まあ、気軽に会長とか、黒崎さんとかって呼んでいいから」

絶え間なく笑っているとこをみると、人受けがよさそうな印象を受ける。
あと、失礼なのだが女みたいな名前だと思った。

最後に立ったのは、目立たないだろうかと伺いたくなるきれいな銀髪のような髪をしている人だった。

「・・・『白鷹 亜弥香』。3年生。副部長」

それだけ言うと、黙って席に座る。

無口な人だな・・・。

ちらりと横を見ると、いかにも不満そうに口を結んでいる黄原が目に入った。
よくはわからないが、彼女の性格から察すると、やはり不愛想な先輩が気に入らないのだろう。

「さー、自己紹介も終わったし時間も頃合い!そろそろ移動しようか」

黒崎さんはそういうと、席を立ち準備運動のようなものを始める。

「な、何か始まるんですか?」

青井 唯が河合先生に尋ねる。

「んー、行ってからのお楽しみ。じゃあ、自分は片付けが残ってるから、うまくやれよー。恋華会長☆」
「先生。からかわないで下さいよ?」

黒いオーラが上った気がした。

その時、チャイムが鳴り響く。

「さぁ、開始の合図だ」

先生が俺の横を通る時、そうつぶやいた気がした。

「開始の・・・あい、ず・・・??」

言葉の意味を理解しあぐねていると、いつかと同じような痛みが走った。

「いってええええぇぇぇ・・・」

軽く涙目になりながら振り返るとやはり黄原がげんこつを作って仁王立ちしていた。

「何してんのよ、このノロマ」
「ボーっとしてたのは悪かったけど、そんな簡単に殴るなよ。彼氏出来ねえぞ」

恨めしそうににらんでやると、思いっきり不愉快極まりない、という顔をされた。

「余計なお世話よ。それより、早く行くわよ」

背を向け、スタスタと歩きだす。
まだ痛むところをさすりながら、俺は歩き出す。

その後、俺達は奇奇怪怪な世界へと足を踏み出すこととなる。

Re: 漆魔転生物語 ( No.7 )
日時: 2010/07/30 12:28
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: fMPELWLk)

Let's Enjoy Summer Vacation!!!
投稿したもので、3回連続のエラーをくらい軽く思考が分裂気味です。


act.5[異世界panic]



「なんだよ、これッ・・・なんなんだよおおおぉぉぉぁぁ!!!」


下校のチャイムが鳴り響いた後の無人の校舎に俺の絶叫が轟く。
ここまでの経緯を説明したい。・・・いや、させてくれ!





>>>
「じゃ、行こうか!」

黒崎さんが保健室を出ていく。
それに続いて廊下に出た俺が見たのは、いつもの無機質に床が続く廊下などではなく、陰気な空気が漂っているゆがんだ空間だった。

「は、はぁ?ド、どうなってんの???」

緑山 慧が、混乱気味に先輩たちに呼びかける。

「お、おい、会長さんよぉ!俺達を一体どこに連れてきたんだ??」
「んー?どこって・・・分かんない?保健室から出てきたんだから、保健室前の廊下でしょ?」

アハッとおどけて笑う黒崎さんを見た時に、背筋を冷たいものが通り抜けた感覚が襲う。

よくわからない・・・これは、畏れ?なんで??相手は人間。少なくとも、自分と同じ種族のはずだ。

「・・・来ますよ」

無口な白鷹先輩が声を上げる。

「く、来るって・・・??!!!」

突然の揺れ。

思わず膝をつく。

顔を上げると、立っているのは先輩たちと黄原だけだった。

その4人が一点を見つめ、固まっている。

「??」

俺も、後ろを振り向いてみたがものの1秒もせず後悔することになる。

『・・・ウジュゥグアアアアアアアアアア!!!!!』

獣よりも恐ろしい怪物。————そう、≪怪物≫なのだ。

全長は軽く5m。なんか、トカゲが直立したやつっぽいなぁ。色は何だろう。ああ、あれだ。アリアリな緑。あーあ、よだれなんか垂らしちゃってぇ・・・。わー、犬歯(?)すっげーなげー。ん、あれ、もしかして俺見られてる?お、目の色はきれいな黄色だなぁ。




・・・・若干程ではないぐらい軽い怪物紹介をするのは、目の前の現実から逃げたいからです☆


「逃げろ!!鏖也!!」

逃げろって・・・前脚(?)を高ーくあげて、何をするつもりだい?うん??
いやぁ、でかい爪とかはえちゃってこれがまた。

「馬鹿!はやく逃げなさいってば!!!」

分かってる。分かってるけどさぁ、残念なことに足、動かないんだよ・・・。

「やばいかなぁ・・・」

やっぱ、死ぬかな。俺。まぁ、いっか。どーせ、ここまでの運命なんだから。

「いやいや、まだまだ君の人生は終わらないんだよ」

突然飛び込んできた影に何かが重なる。
    





           ——そう、何かが・・・・。




『ギュアルアアアアアアアアガアアアアアアアアオオ!!!!!』
「!!!」

怪物の叫び声に、我に返る。

突然、腰から下の感覚が抜ける。

「ウオァッ?!」

結果、尻もちをつくことなった俺はうまく立ち上げないことに気付いた。

「はは・・・、震えてるよ・・・」

自分の手をみると、尋常ではないほど震えていた。
思わず苦笑が出た。

「こんなことでへばったの?」

顔を上げると、目の前に黒崎さんが立っていた。

「手、いる?」

ひらひらと振られている手の反対には、怪物の血だろうか、赤のような黒のような俺の髪の色に似ている液体がこびりついていた。

俺の視線の先に気付いたのか、日本刀を持ち上げる。

「これ、きれいだろ。俺のなんだ☆」

おどけて笑ったあと、一振りで日本刀についていた血を振り払う。

「ここからだよ。さぁ、立ちあがって・・・」

出された手を素直につかみ、立ち上がる。

俺の中では、確実に何かが変わっている。






    —————さぁ、Gameの始まりだ————