ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒夜叉伝記 〜オリキャラ募集中〜 ( No.25 )
- 日時: 2010/07/20 18:57
- 名前: るりぃ (ID: qwjQ/00r)
Scene4『出会いました』
第一印象はとにかく派手。
赤色の逆立った髪に、漆黒のツリ目。そして色鮮やかな蝶が刺繍された紺色の浴衣。
ちらっと、こちらを(というより、足元で伸びているナルシスト野郎を)見たその女は腰に手を当てると、感心したように言った。
「へぇ〜…コイツを殺ったの、あんた? っかしいな〜…佐竹軍にはどうしても見えないんだけどな〜。佐竹軍がアール・クラウドを殺った時に邪魔してやるつも「待て待て待て。その前に貴様は誰だ。」
台詞に割り込んでやると、面白そうに女が首を傾ける。
その仕草に密かに心射止められながら眼を細めていると、急に目の前に紺色と蝶が広がった。
「はいはーい。ちょぉっとごめんね、アタシに命令した。あんたは何者?」
軽い口調とは裏腹に、首筋に突き付けられた刃物。
眼だけを動かして刃物を見ると、黒く光るクナイがあった。
ゆっくりと目線を戻しながら睨み付けると、真剣な眼とかち合う。
「貴様!」
「あんたは下がってて。これはあたしの仕事。」
鋭い制止の声が佐上から上がるが、女はどこ吹く風で流し、私から視線をはずさない。
「大体見るからに怪しいでしょ。あんた、気付かなかったの? 武装もしてなければ、見慣れない妙な格好。それなのに戦に助太刀? 目的は何なの?」
氷のように冷めた眼差しを送られ「怪しさ大爆発」と肩を竦められたが、生憎と私の耳にはもう女の声は届いていなかった。
目的。目的目的目的…。
「あ゛————————ッッッ!!!!!」
女が反射的にクナイを放すよりも先に、大絶叫した私は首が傷つくのも構わず、女に必死の形相で詰め寄った。
「探してたんだ! 探す! 探さなければ! 頭は黙らせた、静かになったか!?」
「ちょっ、待って待って! あたしが悪かった! だから通じる文法でしゃべってくれ!」
クナイを突き付けていた時の冷たさはどこへやら。
逆に焦った様子で血が流れる首筋に手を当てて止血し始めた女を押し退け、佐上が前に出てきた。
「何をやっているんだ、お前! その手つきでは逆に危ない、貸せッ!」
どこから出したのか手巾らしき布を当てられたが、そんなことに構ってられない。
「こんなものどうでもいい! ほうっておけば止まる! それより探しに行かなければ!」
内面では飽き足らず、外面にも動揺がだだ漏れな表情で踵を返した体を、後ろからがっちりと捕獲された。
「な、何を言うか! どうでもよくは「私の家族がっ、ここに! 迷子なんだ!」…何!? このような戦場に!? それは一大事!! 琥珀組ィッ!」
二人ですったもんだやっていると、女が深く溜め息をついた後、女が降参とでもいうように両手を挙げる。
「まったく、あんたは…只でさえ戦が終わったばかりだってのに。で? どんな子なの?」
「はっ?」
「だーかーら、その子の特徴。あたしが探すから、教えなさいって言ってんの。」
唐突すぎる展開に、手足の動きも止まる。
「言っておくけど、あたしはあんたを信用したわけじゃないからね。
まあ、殺気は感じないし普通だったら自らを傷付けようっておかしな人はいないから。
とりあえず、その傷に免じてってことで保留。」
おかしな人という結構な扱いは横へやり、蓮が心配でしょうがなかった私はは、一気に捲くし立てた。
「名前は烏魔 蓮。烏魔家5人姉妹の長女で超やんちゃの悪戯好きでどうしようもないけどピンチにはたよりになるアニキはだな子で甘いものが大好きで私のことを冷嘉姉と呼んでいる。性別は女で年齢は14歳、誕生日は12月12日で蒼がかかった黒髪に黒い瞳でぱっと見少年。特徴は左手首に黒字に青い星の布を巻いている!」
「わかりづらッ!!」
去りかけていた体を元に戻して、勢いよく振り返る女。
「あのさ、一応探しはするけど戦場だってことを頭に入れておいてよ? 終わったとはいえ、残党はいるし。
あんたは佐上と一緒に、帰ってな。もちろん、その子も連れてってあたしが帰るまでに色々と聞いておくこと! 佐上、この男を頼んだ。」
「承知、クラウドを討ってもらった礼だ。では行くぞ、傷の手当てもしなければ!」
「げっ! ちょっと待て、私も残る、放せ…ッ!?」
「佐上軍蓮輔隊、帰還!!!!!」
「五月蝿い!!」
辺りいっぱいに佐上の雄叫びが響き渡った。
それに答えるように遠方のそこかしこでも雄叫びが上がる。
感慨深げに呆れていると、急に視界がぶれる。
ホールドから脇に抱え直されたのだと気付くより先に、ありえない速さで走り出された。
「おい、降ろせよ!何で俺まで、ちょっ…ああああああ!!人の話を聞けーッ!!!」
To be contineu…