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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒夜叉伝記 〜必殺技募集中〜 ( No.61 )
- 日時: 2010/08/01 11:01
- 名前: るりぃ (ID: Y2qMR8Q5)
Scene10『蜃気楼〜Mirage〜』
ある夜の事、高層ビルの屋上の社長室で、秘書が仕事をしていた。
これは何処の会社でもみられる光景なのだが、どこか違和感がある。
と、その瞬間。
天井のほうから、僅かな…人間の耳では聞き取れないほど僅かな物音が聞こえた。
その物音を聞き取ったのか、その秘書がおもむろに顔を上げ、血のように紅い唇を開く。
「其処にいるんだろう? …でてこい。」
その口から出てきた声は女性の声とは違い、低い…明らかに男性の声だった。
そしてその声を合図に、秘書の前に黒い羽を散らしながら黒ずくめの者たちが現れる。
秘書はその者たちの人数を数えると、面倒くさそうに顔をしかめた。
「うわぁ…21人もいるじゃねぇか、夕飯の時間に遅れたらどうしよ。」
秘書はそう言いながらスーツの胸ポケットに手を入れる。
それと同時に黒ずくめの者たちが秘書に切りかかった…
が、一瞬にしてその黒ずくめの者たちはぴたりと動きを止め、ばらばらになった。
「甘いんだよな〜…‘俺'が出てこいっていったときに力全開でかかってくればもしかしたら数秒は持ったかもしれねぇのに…」
秘書はそう言うと高層ビルの窓を開け、飛び降りようとしたが、自分の格好に気が付き、はぁ、とため息をつく。
だるそうに持ち上げた手でスーツの襟を掴むと、スーツを剥ぎ取るような動作をした。
すると、一瞬で秘書の服装から何処にでもいそうな一般市民の洋服に変わる。
そして次に顔を拭うような動作をすると、其処には一般的に言う男前な顔が現れた。
「じゃ、いきますか!」
男はそう言って紅い髪を後ろに払うと、窓の外へと飛び降りた。
To be contineu…
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