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Re: 黒夜叉伝記 〜必殺技募集中〜 ( No.64 )
日時: 2010/08/01 10:50
名前: るりぃ (ID: Y2qMR8Q5)

Scene11『蜃気楼〜Mirage〜Ⅱ』

此処は某県の田舎町で、とても平穏な所である。
朝市が出て、子供たちは元気に外を駆けずり回るという、いつもどおりの平穏な風景が広がっていた。
だが、市場で買い物をしていた婦人があることに気が付く。

「え? あんなところに人?」

時計台の一番上に人が乗っている事に気がつく、しかもそれは橙色の髪をした少女のようだ。
婦人はあんな所に上って落ちたら大変だと思い、少女に声を掛ける。

「其処にいたらあぶないわ。降りてらっしゃいな。」

少女はその声にピクリと反応すると、いきなり時計台の上から婦人めがけて飛び降りた。
婦人が唖然とし、辺りには悲鳴が上がる。
そして少女が婦人に激突する…と、誰もがそう思ったその時。

「一人目。」

少女は無傷で婦人の隣に立つ。
婦人とその周りの人間は少女の身体能力に驚き、目を見開いてその場に固まっていた。
だが、次の瞬間。
婦人の左肩から右胸にかけて、刃物で切られたかのような傷ができ、婦人は血を流しながら倒れた。
辺りを悲鳴と混乱が包む。

「いったいなんのつもりだ! 貴様…」

男性が怒鳴り声を上げ、少女に掴みかかろうとした、が、彼は少女に触れるか触れないかの距離で頭を裂かれる。

「人殺しだ! 殺…」

少女を人殺しと呼びながらその場から逃げようとした青年は少女に行く手を阻まれた。
青年は少女に背を向けて逃げ出そうとするが、顎を二つに割られて倒れる。

「く、狂ってる…」

あまりの出来事に呆然としてその場から動けない女性に少女は背中合わせに立つと「四人目」と小さく呟いた。
女性が振りかえると同時に女性は二つに裂かれる。
少女は周りの人々がおびえた様子で此方を窺っている様子を一瞥すると、ため息をついた。

「めでたい町だ…五人もの暗殺者にいいように居座られているとはな…どうやら依頼は別の町からだったようだな。」

一人の男性が倒れた婦人に近寄り、そっと仰向けにしてみれば、ざらざらと凶器が落ちてきた。
男性が悲鳴をあげてにげるのを確認すると、少女はまたため息をついた。

「さて、町の外から感じた殺気は五人だったか…何人まで切ったんだっけ?」

少女は鬼事でもするかのように切った人間の数をぞえ出した。

「い〜ち。に〜い。さ〜ん。し〜い…あれ?一人足りない…」

少女は困ったように眉を寄せると、辺りを見渡し始めた。

「どぉ〜こ〜かぁ〜なぁ〜…むー、困ったなぁ。見つからない。どうしよう。」

少女のその様子に周りの人々はざわざわとざわめき始める。
少女はその様子をみてにやりと笑うと小さく呟いた。

「なぁ〜んて、ね。」

少女は次の瞬間、子供の肩に手を置いている男性の背中にたった。

「それで子供を盾代わりにしてるつもり? 甘いよ。」

男性が声をあげるよりはやく、少女はその男性の首に刃物をつきたてた。

To be contineu…