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Re: 黒夜叉伝記 〜必殺技募集中〜 ( No.68 )
日時: 2010/08/04 10:49
名前: るりぃ (ID: qwjQ/00r)

Scene13『蜃気楼〜Mirage〜Ⅳ』

和室の布団に、橙色の髪の少女が寝ていた。
少女は二・三回寝返りを打つと、瞳を開いて気持ち悪そうに眉を顰めた。

「クソ…落ち着かねぇ…」

少女はばっと上体を起こすと布団から出て、顔を拭うような動作をした。
すると少女は一瞬で紅い髪、赤い瞳の男性の顔に変わった。
だるそうに持ち上げた手で浴衣の襟を掴むと、浴衣を剥ぎ取るような動作をした。
すると、一瞬で浴衣から洋服に変わる。
男性は立ち上がると部屋の窓に近寄り、勢いよく窓を開ける。
男性は窓の外に木があるのを確認すると、窓から飛び出し、その木の枝に座り、木の幹にもたれかかった。

「これが一番落ち着く、か…」

男性は忌々しげに舌打ちをすると、誰に言うわけでもなく呟いた。

「贅沢な飯も、柔らかな寝床も要らない…面倒な化物だな。」

男性は自分に宛がわれた部屋に気配が近寄ってきている事に気が付くと、すぐに部屋の中に入って橙髪の少女に戻った。

「楼様、朝餉の用意が出来ましたので、その…」

少女…楼はその声を聞くと勢いよくふすまを開け、仲居に感情のこもっていない声でこういった。

「もう出発する。飯も寝床も必要ない。」

To be contineu…