ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 幸せだったのに・・・2話更新 ( No.8 )
- 日時: 2010/07/23 09:24
- 名前: りん ◆mTqouqsI7s (ID: np0G/CPM)
- 参照: 雑談掲示板では「みさき」です☆
第3話
その5年後—・・・
すっかり大人っぽくなった琴未は裕美を迎えに行くために準備をしていた。
「気をつけるのよ」
「分かってるって」
母とそんな会話をしながら玄関で靴を履く琴未。
季節は秋・・・。
裕美が施設に連れて行かれてちょうど5年がたった。
1週間前に施設から手紙が届いた。
「1週間後の日曜日、身内の方が○○の前に迎えに来ること」と・・・。
それで名乗りを上げたのが姉である琴未だった。
琴未は裕美を迎えにいく途中、この5年間を振り返ってみた。
裕美がいなくなった後・・・
走っていく車をみながら琴未は明日実に何があったのかを聞いた。
明日実は泣きながらすべてを話した。
琴未は小さいながらも状況を理解し、母も悲しいんだと思い、ギュッと抱きしめた。
裕美がいなくなった後、琴未はずっと心に穴が開いた気分だった。
可愛い妹がいなくなったからである。
もちろん琴未は可愛くて人気者だが、学校以外では友達と遊ぶことはせず、
いつもまっすぐ帰宅し、裕美の面倒を見ていた。
さすがにしっかりしている琴未でも、裕美がいない状況には耐えられない。
毎日裕美の部屋を除き、
毎日裕美を思い、
毎日裕美の夢を見てしまっていた。
明日実と啓太はとても悲しそうにその光景を見ているだけだった。
そんなこんなで5年後やっと手紙が届き、3人は大喜び。
裕美を1番思っている琴未に迎えに行かせることになった。
琴未は約束の場所に付き、今か今かと待っていた。
琴未はすっかり可愛く育ち、メイクも上手で、おしゃれでスタイルもよく、
外を歩けば目を引く容姿になった。
この待っている間もジロジロと痛いほどの視線をあび、琴未は疲れていた。
そんな琴未の前に、1台の車が止まった。
あの時の車だ。
車の扉が開き、男が出てくる。
「お久しぶりです・・・琴未さん。すっかり大人っぽく育ちましたね」
男の声を聞いた瞬間、琴未はこの人が裕美を連れて行ったことを確信した。
「では、裕美さんを下ろしますので・・・」
そう言って男は車に乗り込んだ。
そして後ろのドアが開き、女の子が出てくる。
間違いなく5年ぶりに見る愛する妹、裕美だった。
しかし、裕美の目を見た瞬間、琴未はあることに気づく。
「・・・感情が・・・・・・入ってない・・・?」