ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第6策 ニセモノ ( No.11 )
- 日時: 2010/08/25 15:42
- 名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
毒トカゲは暗殺をする間に、必ずやる事があった。
それは、通行人の顔写真を取り、自分と同じ所に向かった人間の顔のマスクを即席で作るためだ。
即席と言っても、かなり細かな部分まで創りこまれた輪郭の様々なマスクにメイクを施すだけだし、メイクは結構やりなれている。
「昔の彼氏を思い出すわ」
長い黒髪を束ね、金色の眼をした彼女こそ、毒トカゲの正体だ。
それを、双眼鏡で見張る人物が2名。
場所は空港、どうも飛行機でも落とすつもりらしいが、今度はお前が飛行機のように刑務所に落とされるのだ!
「あの女がそうなのか?」
皆さんご存知男女とビビリ童子だ。
「そうしか考えられないです、あのビルの窓は大神さんが入れるような大きさ、つまり平均体型であるボクが侵入に使えなかったのであの窓を通れるのは体系的に女だけですよ」
相変わらずの切れ者である。
見張りを続けていると、彼女に動きがあった。
なんと、部活で同じチームの3人目、東城 異音が話しかけているではないか!
どうなっている !?
確か、東城は『今日デートがある』とかいって毎回部活をやっていなかったな。
と言う事は……?
「大神さん、一旦引きましょう」
童子の言葉に大神が切れて反論。
「何でだよォ! せっかく捕まえられそうなのに!」
このとき、童子の声のトーンが少し上がった。
「東城を敵に回すことになります!」
その言葉を童子が吐いた瞬間だった、童子の首に半端ではない威力の手刀が打ち込まれ、その手刀が首の皮を剥いだ。
なんと、首の皮を剥いだのは黒薙童子本人!
どうなっている !?
「大神さん、長い付き合いじゃないですか。ボクで無い事に気が付いてくださいよ、出てくるのに凄く勇気が必要だったんですよ?」
首の皮を剥がれた童子の偽者は、黒い長髪を露にし、金色の瞳が2人を威圧した。
恐らく見た目は同年代だが、実力は底が見えない。
心臓を鎖で縛られたかのような凄いプレッシャー、流石はプロの殺し屋と言った所か。
「ゴメンな、童子ィ! 今度からお前に会ったら首の皮引っ張るようにするよ」
「勘弁してください、大神さん! マジスイマセンでした!」
童子のビビリっぷりに呆れながらも大神は腰の30㎝定規へ手を掛ける。
「何でお前が謝るんだよ? さて、トカゲちゃん、鬼ゴッコはここまでだ!」
その言葉の直後、数十名の強面顔に周囲を包囲された。
どうやら、東城がむこうサイドに居るらしい、私達が部活動で動いている集団だとこいつ等は知っている様だ。
「オウオウオウ、俺も遊ばせてくれよ。たまには殺さないと気分的に滅入るんでな」
その言葉と共に、自動販売機&券売機が3つ飛んできて、6名の強面顔がノックアウトした。
お前は池袋の青年か!
自動販売機をブン投げたのは……東城 異音だった。
足止めしてって言ったけど、まさか券売機とかを投げるかフツー。
「童子、これでいいか? お前の言っていた通りに行動したが……?」
「ありがとうございます先輩、超上出来です」