ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第9策  暗殺組織【ジョーカー】 ( No.16 )
日時: 2010/08/02 13:49
名前: 絶櫨 ◆kaIJiHXrg2 (ID: aeLeTDX9)

とある倉庫の前でトラックのエンジンが切れ、音も無く二台の扉が開かれ、エアコンで冷やされた空気と外気が入り乱れる。
その瞬間は、涼しくて気持ちがいいが、今この状況は気持ちのいいものではない。
目の前には、腐敗臭の漂う死体の山。
その全てが5体満足で血が出ている程度の世間には知れにくく、行方不明者として扱わせやすい殺し方だった。
恐らく、この会社は暗殺会社の類だろう。

「何がどうなってる?」

異音の言葉の返答が、倉庫に入ったところで聞こえてきた。
落ち着いて、冷静で、冷めているが、とても殺気が強く、痛いではなく熱く感じられる。
言い換えれば、人間には出せないようなプレッシャー、今にも押しつぶされそうな感じだ。

「久しぶりだな、童子。まさか私のところまで来るとは、心境の変化でもあったか?」

イスに座ってふんぞり返った黒スーツの男……見覚えがあるその男が放った言葉は瞬時にして童子を除くその空間に居た者の言葉を消し去った。

「懐かしいね、クラウンの最高指導者だっけ?前はB級犯罪者で捕まえたはずだけど……どうやって逃げたの?」

余裕をこいた喋り方をしているが、童子もこれだけの言葉を発するのにもの凄い酸素を奪われ、呼吸困難になってしまう、それ程、コイツのプレッシャーは強い。
現に、コイツの部下数名は倒れて痙攣している。

「う〜む、確かに私は捕まった。だが、私の才能を見出した者がこの組織を造り上げた。ジョーカーはこれまでに無い進化した人類の組織、そう簡単に政府に存在を知らせる気も無いし、知る前にくたばらせるから知る必要も無い」

「まるで自分が人間じゃあないかのような物言いだな!」

異音の発言を。一瞥して消し去ると話を進めた。

「ここで交渉だ、我々の組織、ジョーカーに属さぬか?NOと言ってもこのまま見逃すが、邪魔はよく無いぞ。結局は殺さねばならなくなってしまう。さて、答えは?YESかNOだ」

その問いに対し、少し考える。
どの様に返せば、どの様な答えが返ってくるか考えるためであり、その後のためだ。

「NOだ」

全員一致、見事にはもる。

「そうか、残念だ。車の手配をしろ、こいつ等を学校へ送る」